発注でつまずくのは契約の後
人材紹介を使う企業は、まず契約する相手を決めるところから始めます。契約した数だけ窓口ができ、そこから候補者の推薦が届く仕組みです。
採用の担当者からは「どの紹介会社を選べばよいか分からない」「契約したのに推薦が届かない」という声が挙がります。選ぶ作業に時間をかけたまま進めると、契約だけがあって動かない会社が積み上がりかねません。
つまずきが集まるのは契約の後で、力を入れる場所は依頼を届け続ける運用の設計にあります。発注の全体像を見渡し、手をかける場所を見定めておく段取りが欠かせないでしょう。
本記事では、契約前に確かめる3点から、依頼から入社までの工程でつまずく地点と、発注実務を回す運用の設計まで解説します。
発注まわり以外のテーマは記事の一覧にそろえています。
相手を選ぶ作業そのものに費用はかかりません。人材紹介の多くは成果報酬型で、採用が決まった時にだけ手数料が発生します。
国へ事業報告を出した有料職業紹介の事業所は、令和6年度で30,561か所です(厚生労働省『令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』)。預け先の母数はこれだけあり、契約の段階で候補を狭める理由は薄いといえます。
契約に費用が発生しないため、預け先は増やす方向で考えるほうが実態に合います。何社まで持つかの判断は契約社数の決め方で扱いました。
費用が発生する地点と紹介そのものの仕組みは人材紹介の仕組みと費用の発生点にまとめました。
選定の段階で読み取れる材料は、どの会社もほぼ同じです。得意な職種や担当者の動き方は、実際に推薦が届き始めてから見えてきます。

契約前に確かめる3点
契約前に調べられるのは、許可や文書の体裁といった手続きの部分です。ここは短い時間で終えられるため、残った力を契約後へ回せます。
ここでは、契約を結ぶ前に確かめる3点を解説します。
- 有料職業紹介の許可番号が実在するか
- 手数料と返金の定めがどの文書にあるか
- やり取りの窓口と連絡経路が決まっているか
1つ目は許可です。有料の職業紹介を行う会社は厚生労働大臣の許可を受ける義務があり(職業安定法第30条)、許可を受けた事業所には番号が付きます。
番号は厚生労働省の人材サービス総合サイトで照合できます。職業紹介事業の検索から会社名か番号を入れると、許可の有無と事業所の所在地が表示されます。
許可には期限があり、新規は3年、更新を受けた後は5年です(職業安定法第32条の6)。提案資料に載っている番号が今も生きているかは、この検索で確かめられます。
2つ目は手数料と返金の定めが、どの文書に書かれているかです。有料職業紹介事業者は、あらかじめ国へ届け出た手数料表に沿って手数料を受け取ります(職業安定法第32条の3)。
手数料表の中身は会社ごとに決まるため、金額と請求の条件は手数料表と契約書の2つに分かれて置かれます。読み方の詳細は人材紹介の契約書で見る項目で整理しました。
3つ目は窓口です。契約後のやり取りを誰と、どの経路で行うのかが決まっていないと、求人の更新や推薦への返事が宛先を探すところから始まります。
担当者の名前と連絡手段、不在時に代わりを務める窓口までを契約の時点で押さえておくと、依頼を出すたびの手戻りがなくなります。
契約前の確認はこの3点で足ります。相手の見極めは、契約後に実際に届く推薦の中身で行うほうが早いといえます。
複数社から条件を取り寄せて並べる進め方の位置づけは人材紹介の見積もり比較の考え方で扱いました。
契約はあるのに、依頼は届き続けていますか
複数の紹介会社の運用最適化で、契約した会社へ依頼が届き続ける状態に寄せられます。サービス概要資料では、推薦への当日返信、求人条件の書き直し、会社ごとの実績の把握をどう仕組みに落とすかがわかります。発注の工程ごとに何を自社で持つかの整理も、資料内でご確認いただけます。
無料で資料を受け取る依頼から入社までの工程地図
契約が済むと、発注側の作業は5つの工程を順に進む形になります。どの工程にも、つまずきが起きやすい地点が決まっています。
ここでは、求人の依頼から入社後の見直しまでの5工程と、それぞれでつまずく地点を解説します。
- 求人の依頼|条件だけが渡る
- 推薦の受付|複数社の推薦が重なる
- 面接と選考結果の返し|合否だけが返る
- 内定・入社|支払期日と返金の期間が社ごとに違う
- 入社後の見直し|件数だけで切る判断に寄る
求人の依頼では、職種と年収、勤務地といった条件を渡したところで説明が終わる場面が多くあります。条件は満たすものの選考で見送る候補者が続く時、原因はこの工程に戻ります。
採用したい人の背景や、選考で見る点までを渡す進め方は紹介会社への求人の伝え方にまとめました。
推薦の受付では、同じ候補者が複数の紹介会社から届く場合があります。先に推薦した会社がどこかで手数料の請求先が変わるため、受け付けた順番の記録が必要になります。
重なった時の扱いは人材紹介の重複推薦に、自社サイト経由の応募とぶつかった場合の請求先は直接応募と紹介の重複に置いています。
面接の後は、合否だけを返して次の推薦を待つ形になりがちです。見送った理由が戻らない間、紹介会社の側では推薦の精度を上げる手がかりがありません。
理由の返し方と伝える粒度は面接後のフィードバックで整理しました。
内定から入社までは、手数料の支払期日と返金の対象期間が会社ごとに違います。社数が増えると、同じ月に条件の異なる請求が並ぶ状態になります。
期日のそろえ方は人材紹介手数料の支払時期に書きました。
入社後の見直しでは、推薦の件数だけを見て依頼先を入れ替える判断に寄りやすくなります。件数が少ない理由が自社側の返信の遅れにある場合、入れ替えても結果は変わりません。
見直す時の基準は紹介会社の入れ替え基準で解説しています。
5つの工程は、一度通れば終わるものではありません。求人の依頼は募集ごとに、推薦の受付と選考結果の返しは候補者ごとに繰り返し発生します。
工程の数は5つでも、契約している会社の数だけ同じ作業が並びます。

発注実務が採用担当1人に集まる
工程を並べると、紹介会社の側が動く場面と、発注側が手を動かす場面が交互に来ることが分かります。後者は社内の採用担当者に集まります。
ここでは、発注実務が1人に集まる構造と、その作業を外に出す選択肢を解説します。
求人条件の更新、推薦への返事、面接の日程調整、選考結果の連絡は、どれも発注側でしか作れない情報です。契約している会社が増えるほど、同じ作業の宛先が増えます。
採用にかかる費用には、求人広告費や紹介の手数料に加えて採用担当者の人件費も含まれます。5年前と比べて採用コストが増加したと答えた中小企業は約7割でした(2025年版中小企業白書 第2部第1章第4節 人材戦略)。
この作業は一度で終わりません。募集が続く間は毎週発生し、手が回らなくなった分だけ推薦の順番が後ろへ回ります。
契約している会社の動きを1か所で把握し、推薦が増える方向へ運用を組み直す進め方をエージェントコントロールと呼びます。運用の思想と手順は複数の紹介会社を束ねる運用の考え方にまとめています。
ただし、通常の採用業務と並行してこの運用を毎週回し続けるのは、作業量として重い仕事です。一括エージェントの運用代行は、この部分を人とAIの組み合わせで引き受ける仕組みです。
AIが各社とのやり取りと候補者の進み具合を一つの画面に集め、当日中の返信、求人条件の書き直し、担当者との折衝を人が担います。
いま契約している紹介会社は1社も外しません。外に出すのは、発注実務にかかる手間のほうです。
一括エージェントが運用を担った医療機関の例では、契約先を入れ替えないまま届く紹介の数が約2倍へ伸びています。
まとめ|選び方より、届け続ける設計
本記事では、契約前に確かめる3点から、依頼から入社までの工程でつまずく地点と、発注実務を回す運用の設計までを整理しました。押さえておく点は3つです。
- 契約前の確認は許可番号、手数料と返金の定め、窓口の3点で足りる
- 工程でつまずくのは条件の渡し方と、選考結果の返しの中身
- 発注実務は募集が続く間、繰り返し発生する
選定に時間をかけても、契約後の運用が止まれば推薦は届きません。手をかける順番を入れ替えるだけで、同じ契約から届く数は変わってきます。

とはいえ、通常の業務と並行して各社への当日返信と求人条件の更新を続けるのは、採用担当1人が抱えるには量が多すぎます。
一括エージェントが受け持つのは複数の紹介会社の運用最適化にあたる部分です。推薦が来た当日の反応と、求人条件の手直し、会社別の実績の把握までを人とAIで進めます。
いま契約している紹介会社をそのまま使いながら、依頼が届き続ける状態へ寄せていけるでしょう。
よくある質問
Q. 動いていない紹介会社との契約は、やめるべきですか
やめる必要はありません。契約を解いても、社内に残る発注実務の量は変わらず、出会える候補者の幅だけが狭くなります。届かない理由が求人条件の渡し方や返信の遅れにある場合、相手を替えても同じ状態が繰り返されます。取り組みやすいのは、契約を残したまま運用のほうを整える進め方です。依頼の中身を各社へそろえて渡し、推薦に当日中で返す形に変えると、同じ契約先から届く数が動きます。
Q. 依頼から入社までは、どのくらいの期間がかかりますか
一律の期間は示せません。募集する職種の求人倍率、選考の段数、内定から入社までに置く引き継ぎの期間で変わります。工程のうち発注側の都合で伸びやすいのは、推薦を受けてから書類選考の結果を返すまでと、面接の日程を押さえるまでの2か所です。この2か所を当日中に返す運用にすると、全体の期間は短くなります。社内の決裁の順番を先に決めておく方法も有効です。
Q. 契約を結ぶ段階で、費用はかかりますか
人材紹介の多くは成果報酬型で、契約時や求人を預ける時点では費用が発生しません。採用が決まり、対象者が入社した時にだけ手数料がかかります。ただし発生の条件と支払いの期日は会社ごとに違うため、届け出の手数料表と契約書の両方で確かめる必要があります。求人を預ける前に、手数料の計算の基になる金額と、返金の対象になる期間を書面で受け取っておくと行き違いが起きません。
人材紹介の発注実務、人とAIでまるごと引き受けます
複数の紹介会社の運用最適化を軸に、推薦への当日返信から求人条件の書き直し、会社ごとの実績の把握までを横断で代行します。いま契約している紹介会社はそのまま、発注実務が採用担当1人に集まる状態だけを外に出せます。60分の無料相談で、自社の体制にあわせた進め方をご提案します。
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