人材紹介を使い始める時、最初に分かりにくいのが費用の発生時点です。契約書を交わした段階で請求が来るのか、推薦を受けた段階なのかが見えないまま話が進みます。
「いつ請求が来るのか読めない」「面接まで進んだら費用がかかるのか分からない」という声は珍しくありません。発生時点が読めないまま契約先を絞ると、費用のかからない区間を使わないまま採用活動を終えることになりかねません。お金が動くのは入社が決まった一点だけなので、そこに至るまでの区間をどう使うかを先に決めることが欠かせないでしょう。
本記事では、費用が発生する時点から、契約から入社までに発注側が手を動かす場面まで解説します。
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人材紹介で費用が発生するのは入社の1回だけ
人材紹介の取引には、発注企業と紹介会社と求職者の3者が関わります。このうち、手数料を払うのは発注企業だけです。
ここでは、3者のあいだでお金がどう動くかと、費用が発生する時点を解説します。
求職者は、登録しても推薦を受けても費用を負担しません。求職者から手数料を受け取ることは、法律が原則として禁じています(職業安定法第32条の3第2項)。
紹介会社の収入は、求人を出した企業から受け取る手数料に限られます。採用が決まってはじめて売上が立つ形です。
求職者に負担がないため、転職を考える人は紹介会社を使うことに金銭面の抵抗を持ちません。企業から見れば、紹介会社の登録者は費用の壁なしに集まった候補者の層にあたります。
求人を探し、応募の書類を整え、面接の日程を組む作業は、紹介会社の側が引き受けます。入社が決まるまでは、その作業に対する支払いも生じません。
令和6年度に有料職業紹介を通じて決まった就職のうち、4か月以上の雇用または期間の定めのない雇用にあたるものは888,993件でした(厚生労働省『令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』)。この1件ごとに、発注企業から紹介会社へ手数料が渡っています。
手数料は、雇用関係の成立をあっせんした役務に対する対価です。成立しなければ、対価も生じません。
成果報酬型が主流のため、契約書を交わした時点や求人票を預けた時点で請求は起きません。書類選考を通しても、面接を重ねても同じです。
途中で募集を取り下げた場合も、支払いは起きません。選考が進まないまま終わった案件も同じ扱いです。
支払う額の水準そのものは手数料の相場と内訳で扱っています。本記事で追うのは、支払いが起きる時点です。

契約から入社まで、発注側が手を動かす場面
費用が入社の1回に集まるぶん、そこまでの工程は費用をかけずに進みます。工程ごとに、発注側の作業量は大きく違います。
ここでは、契約から入社までの流れと、それぞれで発注側がすることを解説します。
人材紹介の工程と発注側の動き
| 工程 | 発注側がすること | 費用 |
|---|---|---|
| 1. 基本契約の締結 | 手数料の条件と返金の定めを確認して署名する | 発生しない |
| 2. 求人の依頼 | 求人票と現場の情報を担当者へ渡す | 発生しない |
| 3. 候補者の推薦 | 届いた書類に可否と理由を返す | 発生しない |
| 4. 面接・選考 | 日程を出し、結果を担当者へ伝える | 発生しない |
| 5. 内定・条件提示 | 条件を提示し、承諾の返事を待つ | 発生しない |
| 6. 入社 | 入社を確認し、請求を受け取る | ここで発生する |
表で色をつけた2つの工程が、発注側の作業が集中する場面です。求人を渡す時と、届いた推薦に返す時です。
工程の順番は、会社によって多少前後します。契約より先に求人の相談から入る進め方もあります。
どの順で進んでも、費用が発生する地点は入社で変わりません。
求人を渡す時に伝えるのは、募集に至った背景と、任せる仕事の中身と、選考で見る点です。担当者はこの情報をもとに、登録者のなかから声をかける相手を決めます。
推薦に返す時に要るのは、可否と、その判断の理由です。理由が添えられていれば、次に届く推薦の精度が上がります。
残りの工程は、紹介会社側の作業が中心です。候補者を探し、意向を確かめ、面接の場に送り出すところまでは紹介会社が動きます。
支払う額が入社の時点で確定するため、そこまでの5工程は繰り返しても額が変わりません。求人票を書き直しても、推薦への返答を増やしても、請求は入社1件ぶんのままです。
発注側が費用の面で損得を計算する場面は、入社までの工程にはありません。判断の余地があるのは、時間の使い方だけです。
一方で、費用が発生しない区間には請求書が届きません。支払いという締め切りがないぶん、作業は後回しになりがちです。
求人の情報を渡し直すことも、推薦への返答も同じです。工程が止まっていても、費用の面では何も起きないまま時間だけが過ぎます。

登録型とサーチ型|求人の預け方が変わる2つの型
同じ人材紹介でも、候補者の集め方には2つの型があります。契約している会社がどちらの型かで、求人の預け方が変わります。
ここでは、2つの型の違いを解説します。
登録型は、紹介会社に登録している求職者のなかから、条件に合う人を選んで推薦する型です。母集団はすでに手元にあり、担当者は登録者の情報と求人票を突き合わせます。
この型では、求人票に載る情報が薄いと推薦の数も伸びません。担当者が登録者を絞り込む時の手がかりが、求人票に限られるためです。
サーチ型は、要件に合う人を市場から探し出して接触する型です。登録者に該当がいない職種や、在職中の人に声をかけたい場面で使われます。
この型では、どういう経験の人に来てほしいかという要件の伝え方が推薦の中身を左右します。探索の範囲は、伝えた要件の細かさで決まります。
登録型とサーチ型は、契約書の名称で分かれているとは限りません。同じ会社が両方を扱う場合もあります。
今回の求人をどちらの方法で進めるかを担当者に聞いておくと、渡す情報の重点が決まります。
成果報酬型が主流である点は、どちらの型でも変わりません。ただしサーチ型では、探索に着手する時点で費用を設ける契約もあります。
自社の契約がどちらの型で、いつ費用が発生する定めかは、契約書で確かめられます。手数料に関する事項は、紹介会社が求人企業へ明示する義務を負う項目でもあります(職業安定法第32条の13)。
費用のかからない区間を使い切る2つの手順
入社まで請求が起きないという仕組みは、発注側の動き方を決めます。費用のかからない区間で打てる手を、残さず打っておく形です。
ここでは、その手順を2つに分けて解説します。
1. 無料で進む契約先の追加
契約を結ぶこと自体に費用は発生しません。成果報酬型では、入社が決まるまで支払いが生じないためです。
契約の締結でかかるのは、条件の確認と押印の手間だけです。
契約先を1社に絞る理由は、費用の面からは出てきません。その1社の登録者に該当がなければ、候補者と出会う機会がその分だけ減ります。
契約している会社の数だけ費用が増えるわけでもありません。手数料が生じるのは、採用が決まった候補者を紹介した1社に対してです。
紹介会社は、職種や地域によって得意分野が分かれます。1社の登録者だけでは、届く範囲がその会社の強い領域に寄ります。
厚生労働省も全国の集計にあたって、求人者と求職者が複数の職業紹介事業者を利用する場合がある、と注記しています(前掲・令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報))。複数社の併用は、統計の前提に置かれている状態です。
何社と契約するかの決め方は契約社数の決め方で整理しています。ここでは、増やす方向が費用の面で理にかなう点までにとどめます。
2. 預けた求人を動かす運用の最適化
契約先を増やしても、各社に情報が届かなければ推薦は出ません。推薦の数が動くのは、この部分です。
情報が届く先として意識したいのは、実際に候補者と話す担当者です。求人票をメールで送るだけでは、現場の様子までは伝わりません。
まず着手したいのは、次の3点です。
- 契約中の各社へ募集の背景と現場の様子を渡す
- 推薦を受け取った日のうちに可否を返す
- 推薦の件数と選考の進み方を会社ごとに残す
3つとも、新しい支出は伴いません。増えるのは担当者の手間だけです。
返答を急ぐのは、候補者が複数の会社の選考を同時に受けているからです。返事が数日空くあいだに、候補者の側で別の会社の選考が進みます。
推薦を受けた日のうちに可否を返すと、その候補者を選考に残せる確率が上がります。
契約している会社を横断してこの3点を続ける取り組みがエージェントコントロールにあたります。くわしくは複数社を束ねて動かす考え方で扱っています。
紹介会社を切り替える話ではありません。契約中の各社はそのままに、渡す情報の中身と返答までの時間だけを変えます。
とはいえ、契約先が増えるほど、この3点を続ける手間も増えます。その部分を人とAIで補う運用代行が一括エージェントです。
求人情報の各社への展開、推薦を受けた当日の返答、会社別の記録までを担います。
ある医療機関の例では、契約先を入れ替えないまま、各社から届く紹介数が支援前の約2倍になりました。

求人を預けた後、各社をどう動かすか
複数の紹介会社の運用最適化を軸に、契約から入社までの各工程で発注側が渡す情報を整理しました。求人の背景の伝え方から、推薦への一次回答の型、会社別の推薦記録の残し方まで、サービス概要資料で確認できます。
無料で資料を受け取るまとめ|仕組みから見た、発注側の持ち場
本記事では、人材紹介で費用が発生する時点から、費用のかからない区間の使い方までを整理しました。
- 手数料が動くのは入社が決まった一点で、契約と求人の依頼と推薦には費用がかからない
- 発注側の作業が集中するのは、求人を渡す時と推薦に返す時の2か所
- 費用のかからない区間では、契約先を増やし、預けた求人を動かす
ただし、契約先の数が増えると、各社への情報提供も当日の返答も人手では追いつかなくなります。ほかの業務と掛け持ちしていれば、返答は数日単位で遅れていきます。
請求書が届かない区間のため、遅れに気づくのもあとになります。
複数の紹介会社の運用最適化は、一括エージェントが受け持つ領域です。契約先の入れ替えは行わず、各社とのやり取りと記録の部分だけを人とAIで引き取ります。
費用のかからない区間に何を残しているかの棚卸しから、ご相談を受け付けています。
よくある質問
Q. 契約を結んで求人を渡した段階で、費用は請求されますか
成果報酬型の契約であれば請求されません。手数料は、採用が決まった件に対して発生するのが主流です。制度としては、求人の受付に対して徴収する手数料も定められています。ただし令和6年度の集計では、求人受付手数料として報告された額は有料職業紹介の手数料収入全体の0.1%に満たない水準でした(厚生労働省『令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』)。求人票を渡す段階で、支払いは生じません。
Q. 内定を出した候補者が入社を辞退した場合、手数料はどうなりますか
入社に至っていなければ、一般に手数料は発生しません。手数料は、雇用関係が成立した就職に対して支払うものとされています。発生の条件は、各社の契約書の定めによります。内定辞退や入社日前の辞退の扱いも契約書に書かれているため、締結の前に確かめておきます。読み方は契約書のどこを読むかで整理しています。
Q. 費用を抑えるために、紹介会社の利用をやめたほうがよいですか
紹介会社をやめる必要はありません。入社が決まるまで請求が起きないので、使わずに待っても費用面の得はありません。抑えたいのが採用にかかる時間や1件あたりの負担であれば、届く推薦の件数を増やす進め方が現実的です。まずは契約中の各社へ情報を渡し、推薦に早く返す運用の最適化から始められます。
費用のかからない区間に、何を残しているか
無料相談では、契約中の紹介会社の数と、各社へ渡している求人情報を確認します。入社が決まるまでの区間で手つかずになっている箇所を洗い出し、着手する順番をその場でお伝えします。
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