入社日から同時に動き出す、2つの期日
人材紹介で採用が決まると、手数料の支払期日は入社日を起点に定まります。同じ起点から、早期離職が起きた場合に返金が効く期間も動き始めます。
採用担当者からは「請求書の届く時期が社ごとに違って追えない」「返金の対象だったかが後から分からない」という声が挙がります。2つを別々の場所で管理していると、早期離職の時点で返金の期間が過ぎていたり、返金を待つあいだに支払期日が来て延滞になったりしかねません。入社日を1行として、社名と支払期日、返金期間の終期を横に並べる管理が欠かせないでしょう。
本記事では、支払期日が社ごとに違う理由から、1枚の管理表の作り方と社数が増えても崩れない運用まで解説します。
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手数料の支払期日は、採用した人の入社日を起点に決まります。人材紹介の手数料は成果報酬として扱われる契約が多く、入社の事実が確認された時点で請求の根拠が立つためです。
起点を別の日に置く契約もあるため、表を作る前に社ごとに1度確かめます。
同じ入社日から、返金が効く期間も動き出します。早期離職が起きたときに手数料の一部が戻るかどうかは、その期間の内側か外側かで分かれます。
そこで用意するのは1枚だけです。入社日を1行として、社名・支払期日・返金が効く期間の終期を横に並べた表を作ります。
請求書の束と契約書のファイルを行き来する手順がなくなり、どの社の支払が先に来るかと、どの社の返金期間が先に切れるかを同じ場所で読めます。
業種や採用人数は問いません。契約している社数が2社でも10社でも、1行の形は変わりません。
社ごとに違う支払期日と、その確認先
支払期日は、請求のタイミングも含めて社ごとの定めに従って動きます。そのため、同じ入社日で採用した2人でも、社によって支払う日が分かれます。
ここでは、期日が社ごとに分かれる理由と、その中身を確認できる先を解説します。
有料の職業紹介では、紹介会社が事前に国へ届け出ている手数料表のとおりに手数料を受け取る形が認められています(手数料の受け取り方を定めた職業安定法の規定(第32条の3))。届け出る中身は各社が決めるため、請求の条件は会社ごとに別の文書に書かれています。
令和6年度に有料の職業紹介で受け取られた手数料のうち、この届け出に基づくものは約9,808億円で、手数料の合計のほぼ全額を占めます(厚生労働省の『職業紹介事業報告書』令和6年度の集計結果(速報))。発注側から見ると、支払の条件は各社が自分で定めた文書に書かれていることになります。
手数料表には、紹介という役務の種類ごとに、金額と誰が負担するのかが分かるように書かれます(手数料表の作り方を定めた同法施行規則の規定(第20条))。
支払の期日は、各社と結んだ契約のほうに書かれます。請求書の発行から何日以内か、入社した月を基準に何か月後か、といった定め方が社ごとに置かれます。
契約書のどの条項に支払の条件が書かれているかの読み方は、人材紹介の契約書で確認する支払の条件で扱っています。本記事はこのまま期日を並べる側に進みます。

入社日を1行に置く、1枚の管理表
期日の材料は、求人を預けた段階で手元に届くようになっています。採用が決まる前から、表に書き込む準備は進められます。
ここでは、材料がそろう時点と、表に入れる3つの項目を解説します。
紹介会社の側には、手数料の条件と返金の制度の条件を、求人を預かったあとすみやかに書面などで発注側に示す義務があります(明示の義務を定めた職業安定法の規定(第32条の13)、明示する事項を定めた同法施行規則の規定(第24条の5))。
求人を預けた直後に届いたこの書面が、そのまま表の材料になります。採用が決まった月に集め直す作業は要りません。
表に入れる項目は、以下のとおりです。
- 行の起点になる入社日
- 社名と、契約で定めた支払期日
- 返金が効く期間の終期
3つ目は、入社日に契約上の期間を足した日付に直して書きます。「入社から◯か月」の形で残すと、ほかの社の行と並べたときに前後が読めません。
1枚の表に入れる3項目と、並べたあとの読み方
| 入れる項目 | 書き方 | 並べたあとに見るもの |
|---|---|---|
| 入社日 | 採用した人の入社日をそのまま行の先頭に置く | 古い行から順に処理の順番が決まる |
| 支払期日 | 契約の定めを実際の日付に直して社名と並べる | 先に来る期日から支払の準備を進める |
| 返金期間の終期 | 入社日に契約上の期間を足した日付で書く | 先に切れる行から在籍の状況を確かめる |
入社日を1行として、社名・支払期日・返金が効く期間の終期を横に並べる形に整理したものです。
返金の制度そのものの中身、たとえば戻る割合や対象になる退職の理由は、社ごとの規定で決まります。規定の読み方は人材紹介の返金規定(返戻金)にまとめました。
表に手を入れるのは、入社が決まった日と退職の連絡が入った日の2回で足ります。毎日の更新は必要ありません。
返金と支払いがぶつかる2つの場面
2つの期日を別の場所で管理していると、金額が動く場面で判断が遅れます。
ここでは、期日のずれが損失に変わる2つの場面を解説します。
1つは、早期離職の連絡を受けた時点で、返金が効く期間がすでに過ぎている場面です。退職の意思が伝わってから実際の退職日までには、引き継ぎの期間が入ります。
返金期間の終わりを把握しないまま日が過ぎると、請求できたはずの金額がそのまま自社の負担として残ります。契約書のファイルを開いた時点で気づく形になりがちです。
もう1つは、返金の話が片づくまで支払そのものを止めてしまう場面です。返金の対象かどうかの確認と、請求書の支払期日は連動していません。
確認が長引くあいだに期日が来ると、支払の遅れとして扱われます。担当者とのやり取りが支払の話に割かれ、次の推薦に向けた相談が後ろへずれます。
社数が1社なら、2つの期日は記憶でも追えます。社数が増えると入社日と期日の組み合わせが増え、記憶だけでは持てなくなります。

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期日の管理が重くなったとき、契約社数を減らす対応は実益が薄くなります。
ここでは、社数を保ったまま2つの期日を管理する順番を解説します。
人材紹介の契約は成果報酬型が大半で、求人を預けた段階では請求が立ちません。そのため社数は、保つか増やす方向で考えられます。
何社まで持てるかの線引きは持てる契約社数の見極め方が扱う範囲です。
増やした契約が請求と返金の管理を重くするのは、入社日が社ごとに別の場所で記録されているときです。1枚の表に寄せておけば、社数が増えても行が1本ずつ増えるだけになります。
表の日付を書き替える作業は、行が増えてもほとんど同じ手間で済みます。
工数は紹介会社とのやり取りの側で増えます。退職の連絡が入った社に返金の可否を照会し、その回答に合わせて支払の予定を組み替える往復が、社数のぶんだけ発生します。
この進め方で紹介会社を置き換えることはなく、契約をやめる判断にもつながりません。いま付き合いのある各社をそのまま使いながら、期日の記録の置き場所を1つにまとめる範囲に収まります。
推薦の依頼と請求の管理を、契約先の全社ぶんまとめて同じ運用に乗せるのがエージェントコントロールの要です。くわしくは紹介会社を横断で動かす運用の全体像にまとめました。
ただし、採用以外の業務と兼任しながら、社ごとの入社日と2つの期日を毎月そろえ続けるのは、多くの現場で難しいでしょう。この部分を人とAIで分担するのが、一括エージェントの受け持ちです。
社ごとの支払期日と返金期間の残りはAIが1つの画面にまとめ、紹介会社への照会と支払予定の組み替えは人が担います。
運用を一括エージェントに移した医療機関の例では、紹介会社を1社も替えずに、届く紹介の件数が約2倍まで増えています。看護師2名の入職が決まるまでの期間は2か月でした。
医療の分野で出た実績であり、他の業種で同じ結果を保証できるものではありません。
まとめ|入社日を起点にそろえる、支払期日と返金期間
本記事では、支払期日が社ごとに違う理由から、1枚の管理表の作り方と社数が増えても崩れない運用までを整理しました。確認する点は3つです。
- 支払期日と返金が効く期間は、どちらも入社日を起点に動き出す
- 入社日を1行として、社名・支払期日・返金期間の終期を横に並べる
- 返金の確認と支払の手続きは分けて進め、期日が先に来る場合は支払を済ませる
社数が増えても、増えるのは行の本数だけです。2つの期日が同じ表に乗っていれば、取り戻せる金額をそのまま落とす事態は避けられるでしょう。

とはいえ、ほかの業務と兼任しながら、社ごとの入社日と2つの期日を毎月そろえ続ける余力が残っている採用現場は多くありません。更新が止まった月から、返金の可否はまた請求書の束をたどる作業に戻ります。
複数の紹介会社の運用最適化を外から支えるのが一括エージェントです。社ごとの期日の記録から、紹介会社への照会、支払予定の組み替えまでを、人とAIで分担します。
取引のある各社はそのまま残して、2つの期日が1枚に乗った状態へ寄せていく進め方です。
よくある質問
Q. 人材紹介の費用はいつ払うのかが社ごとに違います。期日はそろえられますか
期日そのものは各社の契約で定まるため、そろいません。そろえられるのは記録の置き場所です。支払期日は入社日を起点に決まるため、入社日が分かっていれば、全社の期日を同じ表の上に日付として書き出せます。自社の支払の締め日に合わせたい場合は、契約の更新のタイミングで相談の対象にできます。当面は、入社日を1行として社名と期日を並べ、先に来る順に処理する形で足ります。
Q. 返金の確認が終わらないうちに支払期日が来ました。どう動けばよいですか
契約の定めを先に確かめます。支払と返金を別の手続きとして定めている契約では、期日が先に来る場合は支払を済ませ、返金が決まった時点で精算する流れになります。請求額から差し引く形にできるかどうかは社ごとに違うため、紹介会社の担当者への照会を先に入れます。あわせて、返金が効く期間の終わりを表で確認し、その日が近い場合は退職日と退職の経緯を書面で残しておきます。
Q. 手数料の期日管理が負担です。人材紹介の利用はやめるべきですか
人材紹介をやめる必要はありません。成果報酬型の契約であれば、持っているだけで請求は立ちません。負担は、期日の記録が複数の場所に散っている状態から生まれます。取り組む順番としては、いまの契約を残したまま、入社日を1行とする1枚の表に支払期日と返金の期限を寄せる形になります。社数を減らすと推薦の総量もその社のぶんだけ減るため、管理の側を整えるほうが採用の進み具合を保てます。
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