歯科衛生士1人の採用にかかる費用と、その後の採り直し

歯科医院では、常勤の歯科衛生士が2人か3人という体制が珍しくありません。1人が抜けると、予約の枠をそれまでどおりに組めなくなります。

院長からは「求人を出しても歯科衛生士の応募がない」「紹介会社に頼んだが長く続かなかった」という声が挙がります。料率の低い会社を選ぶだけでは、採り直しのたびに手数料が積み上がりかねません。

紹介会社を選ぶ基準は、料率よりも採り直しの起きにくさへ置き直す必要があるでしょう。

本記事では、歯科衛生士1人あたりの紹介手数料の水準から、採り直しを防ぐ評価軸と依頼先の整え方まで解説します。

ほかのテーマも一括エージェントの記事一覧で扱っています。


歯科衛生士1人あたりの紹介手数料の水準

紹介手数料は、採用した人の理論年収に料率を掛けて決まります。理論年収とは、月給や諸手当に賞与の見込みを加え、12か月分に換算した金額です。

ここでは、歯科衛生士1人を紹介会社経由で採用したときの金額の相場を解説します。

料率は理論年収の20%から35%あたりが中心です。国が令和7年4月から紹介会社に開示を義務づけた実績でも、全職種の平均手数料率は21.6%でした(厚生労働省『職業紹介事業における職種別手数料、離職状況について』)。

歯科衛生士の賃金は、月あたりの給与と年間賞与を合わせておよそ396万円です(厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査』(職種)第1表)。

この額を理論年収と見なすと、手数料は79万円から139万円ほどになります。常勤が2人か3人の医院では、この金額が1人分の採用で一度に出ていきます。

職種ごとの料率の差や上限をめぐる論点は人材紹介の手数料相場と本音にまとめています。

紫色の使い捨て手袋をした手が、透明な歯列模型に歯ブラシを当てているクローズアップ
写真: Bakytzhan Baurzhanov / Pexels

採り直しで費用が二重になる仕組み

紹介手数料には返金規定が付くのが一般的です。ただし対象となる期間は契約ごとに決まっており、その期間を過ぎた退職では手数料は戻りません。

ここでは、採り直しが起きたときに費用が二重になる流れを解説します。

厚生労働省が医療分野の求人事業所に行った調査に、その実態が出ています。紹介で採用した人が早期に退職した事例のうち、返戻を受けたケースで全額が戻ったのは18.2%にとどまりました(厚生労働省『医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査 集計結果(概要)』)。

残りは一部の返戻です。そして2人目を採るときには、その分の手数料が改めて発生します。

対象期間を過ぎた退職であれば、返戻はありません。同じ人数を保つために、満額の手数料を2回払う形になります。

返金規定は「早期離職の保険」として説明されることがありますが、実際に医院の負担がゼロになる場面は限られます。契約前に、対象期間と返戻の割合の両方を読んでおく姿勢が重要です。

費用だけの話にとどまりません。常勤が2人か3人の医院では、1人が抜けた影響がそのまま診療に出ます。

予約枠を減らすか、院長やほかのスタッフがメンテナンスと処置を引き受けるかの判断を迫られます。

歯科衛生士の勤務先は診療所に集中しており、就業している人の90.6%が診療所に勤めています(厚生労働省『衛生行政報告例』令和6年・就業医療関係者の概況)。

採り直しの募集でも、近隣の医院と同じ層を取り合う形になります。空いた枠がすぐ埋まる前提では組み立てられません。

返金規定とトラブルの実例では、対象期間と条件の読み方を詳しく扱っています。


採り直しの起きにくさを見る3つの軸

紹介会社を比べるとき、料率の差は契約前に見えます。採り直しが起きるかどうかは見えませんが、確かめられる材料はあります。

ここでは、採り直しの起きにくさを判断する3つの軸を解説します。

  • 推薦の前に勤務時間や曜日、通勤の制約まで確認しているか
  • 返金規定の対象期間と、退職理由による除外の条件
  • 入職後に本人と医院の双方へ連絡を入れる仕組みの有無

1つ目は、候補者の就業条件をどこまで詰めてから推薦しているかです。

歯科衛生士の勤務では、診療の終わりが読みにくい曜日、土曜の出勤、担当できる処置の範囲が入職後の不満につながりやすい項目になります。ここを推薦の前に確認している会社では、条件の行き違いによる早期退職が起きにくくなるでしょう。

2つ目は、返金規定の中身です。入職から何か月までが対象かに加え、自己都合か会社都合かで扱いが変わる条項も読みます。

対象期間が短い契約では、採り直しの費用を医院がそのまま負担する形になります。料率が1ポイント低いことより、対象期間が3か月長いことのほうが実際の支出に効く場面があります。

3つ目は、入職したあとの関わり方です。入職日で担当者の関与が終わる会社もあれば、試用期間のあいだ本人と医院の双方に連絡を入れる会社もあります。

入職直後の不安は、院長に直接伝わる前に紹介会社の担当者へ相談される場合があります。その段階で共有される仕組みがあれば、退職の意思が固まる前に手を打てます。

ベージュの机に手帳とノート、書類とペンが並び、リング綴じの予定表へ書き込む手元を真上から写した様子
写真: cottonbro studio / Pexels

この3つは、契約前の打ち合わせで担当者に聞けば確かめられます。答えが曖昧な会社に依頼してはいけないという話ではなく、依頼の配分を決める材料として使う見極めの軸です。

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依頼先を増やしてから運用を整える順序

3つの軸で見ると、いまの依頼先が合っているかどうかが見えてきます。ただし、軸に照らして1社へ絞り込む進め方は取りません。

ここでは、契約と運用のどちらから手をつけるかの順序を解説します。

人材紹介は成果報酬が主流で、契約を結ぶだけなら費用はかかりません。採用が決まったときにだけ手数料が生じます。

そのため、契約社数は増やす方向が基本になるでしょう。

依頼先が1社だけだと、その会社の登録者に条件の合う歯科衛生士がいない限り、推薦は届きません。複数社へ同じ求人を預けておけば、出会える候補者の幅が広がります。

何社まで増やすかの決め方は人材紹介は何社と契約すべきかにまとめています。

社数を増やしたあとが本題です。推薦への返信が遅れる、求人の内容が古いまま置かれるといった状態が続くと、紹介会社の側では決まりにくい医院として扱われ、推薦の順番が後ろに回ります。

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院長が自分で複数社を回すときの具体的な手順は、クリニックの看護師採用|病院と競わない進め方で扱っています。歯科医院にも同じ型が使えます。

ただし、診療の合間にこの運用を回し続けるのは負担の大きい作業です。一括エージェントでは、その部分を人とAIの組み合わせで代行しています。

紹介会社ごとのやり取りと候補者の状況をAIが一か所へ集め、当日の返信、求人内容の手直し、担当者との折衝は人が受け持ちます。契約中の紹介会社は1社もやめずに、運用にかかる手間だけを外へ出す形です。

一括エージェントが運用をまるごと引き受けた医療機関の例では、依頼先を入れ替えないまま、届く紹介の数がおよそ2倍へ伸びました。看護師2名が入職するまでの期間は2か月です。

こちらは医療機関で得た数値であり、歯科医院で同じ結果を保証するものではありません。


まとめ|採り直しの起きにくさで選ぶ紹介会社

本記事では、歯科衛生士1人あたりの紹介手数料の水準から、採り直しを防ぐ評価軸と依頼先の整え方までを整理しました。振り返りたい点は3つです。

  • 手数料は理論年収の20%から35%が中心で、歯科衛生士なら79万円から139万円ほど
  • 早期退職で全額が返る事例は限られ、採り直しのたびに費用が積み上がる
  • 見る軸は条件のすり合わせ・返金規定の中身・入職後の連絡の3つで、依頼先を増やしたうえで運用に手をかける

料率の1ポイントを削る交渉より、1回の採り直しを防ぐほうが医院の支出に効きます。削りすぎた料率は推薦の順番にも響くため、交渉は水準の確認までにとどめるのが無難です。

白衣に聴診器を掛けた医療従事者が、青い手袋をした手でクリップボードに記入している様子
写真: Antoni Shkraba / Pexels

とはいえ、診療を回しながら複数社への当日返信と求人内容の更新を続けるのは、院長が1人で抱えるには重い作業量です。

一括エージェントは、複数の紹介会社の運用最適化を軸に、推薦への当日反応から求人票の手直し、紹介会社別の実績管理までを人とAIで代行します。

いまの紹介会社をそのまま使いながら、採り直しの起きにくい状態へ寄せていけるでしょう。

よくある質問

Q. 歯科衛生士1人の採用に、紹介手数料はいくら見込めばよいですか

理論年収に20%から35%の料率を掛けた額が目安です。歯科衛生士の賃金は月給と年間賞与を合わせておよそ396万円のため、79万円から139万円ほどの幅になります。実際の額は、提示する給与と各社の料率で変わります。契約前に料率だけでなく、返金規定の対象期間まで確認しておくと、採り直しが起きたときの負担を見積もれます。

Q. 入職してすぐ辞められた場合、紹介手数料は戻りますか

契約に定めた対象期間内の退職であれば、規定に沿って返戻を受けられます。ただし全額が戻るとは限らず、半分や3分の1といった一部返戻の取り決めも広く使われています。対象期間を過ぎた退職では返戻はありません。採り直しには改めて満額の手数料がかかるため、契約前に対象期間と返戻の割合の両方を読んでおく必要があります。

Q. 手数料が重いので、紹介会社の利用はやめるべきですか

利用をやめる必要はありません。歯科衛生士は募集をかけて待つだけでは応募が集まりにくく、紹介会社は有力な入り口です。契約を切ると、いま動いている採用まで細ります。現実的なのは、契約している会社の運用を整えることです。推薦への返信を早め、求人の内容を各社に伝わる形へ直し、採り直しの起きにくい会社へ依頼を寄せる進め方が、支出を抑える近道になります。


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