看護師1人の欠員が診療を左右する、クリニックの構造

常勤の看護師が1人退職すると、少人数で診療を支えるクリニックでは翌日の外来体制がすぐに揺らぎます。大きな病院のように、他部署から応援を回す余力がないためです。

現場からは「求人を出しても応募が集まらない」「大病院と給与では競り合えない」という声が上がります。欠員が長く埋まらないままだと、残ったスタッフの負担が増え、次の退職を招きかねません。

条件で張り合うのではなく、夜勤なしの働き方と職場の近さ、院長の即断という手元の強みを紹介会社2〜3社に渡して回す進め方が欠かせないでしょう。

本記事では、クリニックが持つ3つの強みの中身から、院長の1日のすき間で紹介会社2〜3社を回す運用の型まで解説します。

ほかの記事は一括エージェントの記事一覧から読めます。


結論|病院と条件で競わない採用の進め方

クリニックが看護師を採用するために、大病院と給与や設備で張り合う必要はありません。求人サイトで金額だけを並べて比較されると、原資の大きい施設が有利になる構造があります。

そのため、条件で競い合わない前提に立つことが出発点になります。ここでは、クリニック側にすでにある強みと、その届け方を解説します。

クリニックが持つ強みは、次の3つです。

  • 夜勤がなく、日祝に休める働き方
  • 誰と働くかが入る前に見える、職場の近さ
  • 院長がその場で決められる、返事の速さ

どれも、多くのクリニックにすでに備わっているものです。足りないのは、これを候補者まで運ぶ導線だけです。

やることは1つです。この強みを言葉にして、紹介会社2〜3社に渡して回すという進め方です。

新しい媒体の契約も、採用サイトの制作もいりません。

クリニックの診察室と受付の様子
少人数で診療を支えるクリニックでは、看護師1人の欠員が診療体制に直結する

病院がまねできない、クリニックの3つの武器

3つの強みは、いずれも設備投資や給与の引き上げをともないません。日々の診療体制をそのまま言葉にするだけで使えるものです。

1つ目は、夜勤のない生活です。入院ベッドを持たないクリニック(無床診療所)には、入院患者の夜間対応がありません。

一般診療所のうち94.9%がこの無床診療所です(令和6年10月時点。厚生労働省『令和6年医療施設(動態)調査・病院報告の概況』)。

勤務の終わりが読めて、日曜・祝日に休めます。子育てや介護と両立したい看護師や、ブランクから復職したい看護師には、給与の額より効く条件です。

求人票には「夜勤なし」の一言だけでなく、診療時間と休診日もそのまま載せておくと効果的です。入ったあとの生活が見える求人票は、それだけで選ばれやすくなります。

2つ目は、職場の近さです。大きな病院では、配属先の人間関係も仕事の中身も、入ってみるまで分かりません。

クリニックでは、誰と働くのか、院長はどのような人か、1日はどう流れるのかが、面接や見学の場でほぼ見えます。

少人数の職場では合わない1人の影響も大きく出ます。入る前にお互いをよく見られる近さは、定着にもつながります。

見学の受け入れを求人票に書いておくと、この強みはさらに使いやすくなります。

3つ目は、返事の速さです。採用の連絡に、決裁の待ち時間がありません。

読むのも決めるのも院長本人だからです。候補者は複数の職場を並行で検討しています。

返事が1日早いことは、それだけで選ばれる理由になります。この速さの活かし方は、次の章で解説します。

病院と戦う必要はありません。夜勤のない生活、入る前に見える職場、院長の即断。この3つがクリニックの武器です。

さらに、強みを届ける相手も広げられます。就業する准看護師のうち32.8%は診療所で働いています。

看護師の診療所勤務は14.3%なので、2倍以上の差です(令和6年末時点。厚生労働省『令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』)。

クリニックは、准看護師にとってなじみの深い職場です。看護師の応募が集まらないときは、准看護師まで範囲を広げると届く相手が増えます。

募集対象に含める場合は、求人票と紹介会社の両方に「准看護師可」と明記しておくと伝わります。

働き手から見た、病院とクリニックの違い(クリニックの強み)

項目大きな病院クリニックで書けること
夜勤交代制の夜勤があることが多い無床なら夜勤なし。勤務の終わりが読める
休日シフトにより不規則になりやすい日祝休みの医院が多く、予定を立てやすい
人間関係配属先や異動先は入るまで分からない誰と働くか・院長の人柄が事前に見える
仕事の範囲担当業務が細かく分かれる外来から処置まで幅広く関われる
働き方の相談組織のルールで一律になりがち勤務時間や日数を院長と直接相談しやすい

一般的な傾向を働き手の視点で整理したもの。実際の条件は施設ごとに異なります。

ただし、強みは言葉にしなければ伝わりません。「看護師募集・経験者優遇」だけの求人票では、1つも伝わらないままです。

夜勤の有無と休診日、勤務時間の相談のしやすさを書き足すだけでも、求人票の情報量は変わります。なお、市場全体の厳しさ(有効求人倍率や地域差)は看護師採用が難しい理由と、応募が来ないときの打ち手で扱っており、本記事は強みの届け方に進みます。


最優先の一手|紹介会社2〜3社を回す運用の型

強みを言葉にできたら、次はそれを候補者へ届ける段階です。最優先の一手は、人材紹介会社の運用です。

ここでは、院長の1日のすき間に収まる回し方を解説します。

院長が採用に割ける時間は限られています。求人媒体をいくつも運用したり、スカウトを毎日送ったりする余力はありません。

その点、紹介会社にはいま職場を探している看護師が集まっています。付き合い方さえ整えば、新しい媒体費をかけずに、少ない手間で候補者と会えます。

クリニックの規模で複数の会社と付き合えるのか、という懸念もあります。看護師の紹介会社はクリニックの求人も広く扱っており、2〜3社なら束ねられます。

窓口が2〜3本に増えるだけなので、管理の道具は手帳で足ります。むしろ1社だけに頼るほうが、その会社に合う候補者がいないときに手詰まりになります。

少人数で回す現場という点では、在宅も事情は同じです。看護職員が数人規模の事業所が多い訪問看護ステーションの人材不足でも、欠員を早く埋める経路として紹介会社の運用が最優先に来ます。

クリニックの受付で患者に対応する看護師の様子
クリニックの強みを紹介会社に渡すと、担当者が候補者にその働き方を語れるようになる

運用といっても、院長の仕事が増えるわけではありません。1日のすき間に収まる型は、以下のとおりです。

  • 最初のすり合わせで、言葉にした強み(夜勤なし・日祝休み・勤務の相談のしやすさ)と、准看護師やパート勤務の可否まで各社の担当者に伝えておく
  • 紹介会社からの連絡は昼休みに1回まとめて見て、「ぜひお会いしたい」「今回は見送り。外来経験のある方を優先したい」の一言でその場で返す
  • 面接や見学は診療後の夕方に固定の枠を決めておき、日程のやり取りを一往復で終える
  • 月末に会社ごとの紹介人数を手帳にメモする(2〜3社なら1ページで足り、力を入れる先が見えてくる)
返信の速さなら、クリニックは病院に負けません。病院では、紹介会社への返事の前に人事や看護部の確認が挟まることがあります。クリニックは、院長が読んだその場で決めて返せます。組織が小さいことは、採用のスピードではむしろ武器になります。

紹介会社の担当者も人です。返事が早く、話の具体的な医院から先に動く傾向があります。

この型は、その優先順位に自然と乗るためのものです。1か月も回せば、どの会社が動いてくれるかは手帳の数字に表れます。

動いてくれる会社に現場の情報を厚めに渡すと、それだけで紹介の量は変わってきます。

念のため補足すると、これは紹介会社をやめる話でも、今の会社を切り替える話でもありません。今の付き合いはそのままに、渡す情報と返信の速さを変えるだけです。

複数の紹介会社を横断で管理し、推薦が増えるように運用を整える考え方は、エージェントコントロールとは(複数の人材紹介会社を最適化する方法)にまとめています。

この運用は、片手間だと後回しになりがちです。そこを人とAIで肩代わりするのが、一括エージェントの運用代行です。

AIが各紹介会社とのやり取りや候補者情報を横断で整理し、人が当日の返信や求人票の調整、紹介会社との関係づくりを担います。

実際、一括エージェントが紹介会社の運用を代行した医療機関の例では、各社からの紹介数が約2倍になり、2ヶ月で看護師2名の採用が決まりました。院長が診療に集中したまま、紹介の量を増やす位置づけです。

なお、無料で使えるナースセンターや、スタッフの知人からの紹介という入り口もあります。どちらも費用はかからず、紹介運用と同時に走らせられます。

ただし、あくまで紹介運用に並走させる補助です。使い方は看護師採用のコスト・紹介手数料を下げるで扱っています。

クリニックのスタッフが打ち合わせをする様子
紹介運用を軸に、無料の窓口や身近な紹介を並走させると採用ルートが増える

今の紹介会社、クリニックの強みを候補者に伝えられていますか?

複数の紹介会社の運用最適化で、夜勤なし・日祝休みといったクリニックの強みをどう候補者に届けるか。進め方を医療機関の実例とあわせてまとめた資料を、無料でお送りします。

無料で資料を受け取る

まとめ|強みの言語化と、紹介会社2〜3社の運用

本記事では、クリニックの強みを言葉にする手順から、紹介会社2〜3社の回し方までを整理しました。要点は以下のとおりです。

  • クリニックの強みは、夜勤のない生活と入る前に見える職場、院長がその場で決められる速さ
  • 大病院と条件では競わず、この強みを紹介会社2〜3社に言葉で渡して回すのが最優先の一手
  • 運用の型は、初回の強みの共有と昼休みの即返信、夕方の面接枠、月末の紹介人数のメモの4つ

とはいえ、診療の合間にこの4つを毎週続けるのは簡単ではありません。返信が数日空くだけで、候補者はほかの職場へ動きます。

そこを人とAIで引き受けるのが、一括エージェントの運用代行です。まずは今の紹介会社に、自院の強みを1つ言葉にして渡すところから始められます。

よくある質問

Q. 大きな病院と給与で競り合えません。クリニックは看護師を採れないのでしょうか

給与だけの勝負にしないことです。クリニックには、夜勤がない、日祝が休み、勤務時間を院長と直接相談できる、人間関係が見えやすいといった、大病院にはまねしにくい強みがあります。これらを求人票や紹介会社に具体的に伝えると、条件を競り合わずに、その働き方を求める看護師に届きます。給与がまわりの相場と大きくずれていないかは押さえておくとして、引き上げを考えるのは、こうした強みを伝えきったあとで十分です。

Q. 小さなクリニックでも、紹介会社を複数使えますか

使えます。大規模な採用でなくても、看護師を扱う紹介会社はクリニック向けの求人を広く扱っており、2〜3社と付き合って束ねることは十分できます。1社だけに頼ると、その会社にいい候補者がいなければ手詰まりになります。まずは2社から始めて、紹介のようすを見ながらもう1社足す、という順番でも構いません。

Q. クリニックの規模だと、紹介手数料が重すぎます。紹介会社はやめるべきですか

やめる必要はありません。紹介会社は、転職を決めた看護師に最短で会える有効なルートです。手数料が重く感じるのは、たいてい採用ルートが紹介一本になり、運用を最適化できていないからです。今の契約はそのままに、複数社を束ねて紹介を増やしつつ、無料の窓口も並走させると、1人あたりの負担は下げられます。手数料そのものの下げ方は看護師採用のコスト・紹介手数料を下げるで扱っています。


クリニックの看護師採用、紹介運用の立て直しから始めませんか

クリニックの強みを言葉にするところから、少数の紹介会社を束ねて紹介を増やすところまで、人とAIがまとめて引き受けます。今の紹介会社はそのまま、院長の手間は増やしません。まずは無料相談で、いまの採用の状況をお聞かせください。

無料相談はこちら