エンジニアの求人を出しても、応募が大手に吸われていく

エンジニアの募集をかけても、なかなか応募が来ない。来たと思っても、選考の途中で大手や自社開発の会社に流れてしまう。中小のIT企業やSES(客先常駐型の受託開発)の現場で、よく聞く話です。

待遇を上げてみる。求人媒体を増やしてみる。人材紹介会社にも声をかける。それでも、欲しい人ほど他社に取られていく。採用にかける時間とお金は増えているのに、エンジニアの頭数はなかなか揃わない。気づけば現場は人手が足りないまま、受けられるはずの案件を見送っている。そんな状態が続いていないでしょうか。

エンジニア採用は、いまもっとも競争が激しい領域のひとつです。だからこそ、ひとつのやり方に頼っていると、体力のある会社に押し負けます。この記事では、中小・SESでエンジニアが採れない理由を公的なデータから整理したうえで、紹介会社を一本に頼らず複数のエージェントを束ねて勝つという考え方を、順番に説明していきます。

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中小・SESのエンジニア採用が難しい理由

まず、なぜここまで採れないのか。気合いや努力の問題ではなく、市場の構造に理由があります。

エンジニアは、そもそも人数が足りていない

エンジニアの採用が難しい一番の原因は、シンプルです。欲しい会社の数に対して、エンジニア本人が足りていません。

国の職業情報サイトで、求人がどれだけ求職者を上回っているかを表す「有効求人倍率」を見ると、IT系の職種は飛び抜けて高くなっています。たとえばシステムエンジニア(基盤システム)は、全国で2.28倍。Webサービス開発のシステムエンジニアにいたっては2.57倍です(いずれも令和6年度。厚生労働省『職業情報提供サイト job tag』(出典:ハローワーク求人統計データ))。

この数字は、すべての職業を平均した有効求人倍率1.20倍(2025年度。厚生労働省『一般職業紹介状況』)と比べると、おおよそ2倍の水準です。エンジニア1人を、2社も3社も奪い合っている計算になります。求人を出して待っていれば応募が積み上がる、という職種ではありません。

複数のモニターが並ぶIT企業の開発デスクの様子
写真: Pew Nguyen / Pexels

「数」が足りないうえに「質」も揃わない

足りないのは頭数だけではありません。本当に必要なスキルを持った人が採れない、という質の問題も深刻です。

独立行政法人のIPA(情報処理推進機構)が企業に行った調査では、DXを進める人材が「大幅に不足している」と答えた会社が62.1%にのぼりました。この調査を始めて以来、初めて過半数を超えています(2023年度。IPA『DX動向2024 - 深刻化するDXを推進する人材不足と課題』)。半分以上の会社が、人がまったく足りないと感じている状態です。

参考までに、同じ調査で2022年度のアメリカ企業を見ると、人材が「過不足はない」と答えた会社が55.1%と、半分を超えていました。日本とは様子がかなり違います。それだけ、国内のIT人材の取り合いは厳しいということです。

中小・地方ほど、不利な戦いになる

そして、この取り合いのなかで割を食いやすいのが、中小企業と地方の会社です。

国の白書でも、地方の企業ではITスキルを持つ人材が「大都市や大手同業者に流れる傾向が強まっており、IT人材を確保するハードルが年々高まっている」と指摘されています。DXを進めるうえでの課題としても、「費用の負担が大きい」と並んで「DXを推進する人材が足りない」が上位に挙がっています(2025年版中小企業白書 第1部第5節 デジタル化・DX)。

知名度のある大手や、自社サービスを持つ会社は、それだけで候補者の目に留まります。一方で中小やSESは、まず存在を知ってもらうところから始めなければなりません。同じエンジニアを狙っても、スタート地点が違う。これが、採用が難しいと感じる正体です。


紹介会社一本だと勝てない理由

人が足りないなら、人材紹介会社に任せればいい。そう考えるのは自然です。ただ、紹介会社だけに頼ると、別の壁にぶつかります。

1つ目は、お金の問題です。エンジニアの人材紹介は、決まると年収の3割前後を成功報酬として払うのが一般的です。年収500万円のエンジニアなら、1人で150万円ほど。何人も採ろうとすると、採用予算がすぐに膨らみます。手数料そのものの考え方は人材紹介の手数料相場と「高い」の本音で詳しく扱っています。

2つ目は、母集団の偏りです。1社の紹介会社が抱えている候補者には限りがあります。その会社の登録者のなかに、自社が欲しいスキルや経験を持つ人がいなければ、推薦は来ません。得意な領域も会社ごとに違うので、1社だけだと出会える人の幅がどうしても狭くなります。

紹介会社が1社なら、出会える候補者もその1社の中だけ。間口が最初から狭くなります。

3つ目が、スピードです。エンジニアは複数の会社から同時に声がかかります。返事が1日遅れただけで、候補者は別の内定を承諾してしまう。実際、IPAの調査でも、人材を採るうえでの課題として「魅力的な処遇が提示できない」が41.3%で最も多く、「採用したい人材のスペックが明確でない」も33.9%にのぼりました(IPA『DX動向2024』)。条件の整理や意思決定が遅れる会社は、それだけで後れを取ります。

エンジニアがノートパソコンでコードを書いている手元
写真: Mikhail Nilov / Pexels

紹介会社が悪いわけではありません。むしろ、人が足りない領域では強い味方です。問題は、1社に頼りきると「お金・出会いの幅・スピード」の三方向で取りこぼしが出る、という点です。だからといって闇雲に契約社数を増やすと、今度は管理が回らなくなります。ここをどう設計するかが、勝ち負けを分けます。


複数エージェントを束ねて勝つ=エージェントコントロール

そこで効いてくるのが、複数の紹介会社(エージェント)をうまく束ねて運用する、という考え方です。これをエージェントコントロールと呼びます。

エージェントコントロールとは、契約している複数の紹介会社を横断で管理し、推薦が増えるように運用を整えていく取り組みのことです。社数を増やすこと自体が目的ではありません。それぞれの会社に動いてもらい、出会える候補者の幅を広げ、決まるスピードを上げる。そのための運用です。考え方の全体像はエージェントコントロールとは|複数の人材紹介会社を最適化して採用を加速する方法にまとめています。

なぜ複数を束ねると効くのか。理由はここまでの裏返しです。

  • 紹介会社ごとに得意な領域が違うので、複数を使うと出会える候補者の幅が広がる
  • どの会社が実際に動いているかを数字で見れば、効く会社に力を集中できる
  • 各社からの推薦に素早く反応する仕組みがあれば、スピード負けしにくくなる

ただし、ここに落とし穴があります。社数を増やすほど、窓口・返信・候補者情報の管理にかかる手間が一気に膨らみます。エンジニアの面談調整は技術者本人の都合とも噛み合わせなければならず、片手間ではすぐに破綻します。

管理の選択肢(ツール導入か運用代行か)の比較は人材紹介の管理システム比較にまとめています。

紹介会社を増やしただけでは、推薦は増えません。むしろ、返信が追いつかず候補者を取りこぼす会社が増えていきます。「社数を増やす」のと「動かす」のは別物だと考えてください。

実は、推薦が来ない原因の多くは、紹介会社側の怠慢ではなく、発注する側の対応にあります。返信が遅い、求人情報が薄い、面接後のフィードバックがない。こうした会社は、紹介会社から「決まりにくい会社」と見なされ、後回しにされます。このあたりは紹介会社が動かない・推薦が来ない原因と打ち手で詳しく解説しています。

エンジニア採用の場合、ここに技術的な要件をどう伝えるか、という難しさも加わります。求める言語やフレームワーク、開発環境、案件の中身を、紹介会社の担当者に分かる言葉で渡せていないと、見当違いの候補者ばかり送られてきます。逆に、ここを丁寧に整えると、推薦の精度はぐっと上がります

紹介会社、契約はあるのに今月は何社が動いていますか?

エンジニア採用で「応募が来ない」「大手に取られる」の裏には、たいてい紹介会社の運用の取りこぼしがあります。複数の紹介会社をどう束ねれば推薦が増えるのか、御社の状況にあわせて無料でご提案します。まずは現状のお話からどうぞ。

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紹介以外のチャネルと組み合わせる

複数の紹介会社を束ねるだけでも採用力は上がります。ただ、エンジニア採用で本当に勝とうとすると、紹介に加えて別の入り口も育てておくのが現実的です。理由はシンプルで、紹介一本に頼るほど、手数料も母集団の偏りも大きくなるからです。依存度を下げる考え方は人材紹介に依存しない採用へ|依存リスクと脱却ステップにまとめています。

エンジニア採用で組み合わせやすいチャネルを、紹介会社と並べて整理すると次のようになります。

エンジニア採用の主なチャネル

チャネルコスト感出会える幅中小・SESでの向き合い方
人材紹介(複数社)成功報酬・高め各社の登録者ぶん広い束ねて運用すれば母集団とスピードを補える
ダイレクトリクルーティング登録料+手間狙った人に直接届く条件より「面白い仕事」を自分から伝えられる
リファラル(社員紹介)低めエンジニアの知人つながり現場の納得度が高く、定着しやすい
技術発信(登壇・記事・OSS)時間がかかる知名度を超えて届く規模で負けても「技術で選ばれる」入り口になる

ダイレクトリクルーティングは、登録した候補者に企業から直接スカウトを送る方法です。待ちではなく、自分から狙った人に声をかけられます。知名度で負けていても、案件の面白さや任せられる裁量を直接伝えられるのが強みです。

リファラルは、社員からの紹介です。エンジニアはエンジニア同士のつながりが強いので、相性のいい仲間を呼びやすい。現場の納得感があるぶん、入社後に定着しやすいのも利点です。紹介してくれた社員に手当を出すなど、仕組みにしておくと続きます。

技術発信は、勉強会での登壇や技術ブログ、OSS(誰でも使えるよう公開されたソフトウェア)への貢献などです。すぐに採用につながるものではありませんが、続けると「あの技術をやっている会社」として、規模を超えて知ってもらえます。中小やSESが、知名度ではなく中身で選ばれるための長い投資です。

開発チームが打ち合わせをしている様子
写真: Mikhail Nilov / Pexels

大事なのは、どれかひとつに賭けないことです。紹介会社を複数束ねて母集団とスピードを確保しつつ、ダイレクトリクルーティングやリファラルで紹介に頼りきらない入り口をつくる。技術発信で中長期の知名度を育てる。この組み合わせが、体力で勝る大手に対して、中小・SESが取れる現実的な戦い方です。

とはいえ、これを全部、片手間でやり切るのは簡単ではありません。複数の紹介会社への当日返信も、スカウトの文面づくりも、ほかの業務と兼任しているとどうしても後回しになります。そこを人とAIで肩代わりするのが、一括エージェントの運用代行です。AIが各紹介会社とのやり取りや候補者情報を横断で整理し、人が当日反応・求人票の最適化・紹介会社との関係づくりを担います。紹介会社はそのまま使いながら、運用の手間だけを外に出して推薦を増やす、という位置づけです。


まとめ|一本足を、複数の足に変える

最後に、この記事の要点を振り返ります。

  • エンジニアは需要に対して人が足りず、IT職種の有効求人倍率は2.28〜2.57倍と、全職業平均1.20倍の約2倍の水準です
  • 足りないのは頭数に限らず、スキルの面でも不足が深刻で、DX人材が「大幅に不足」と答えた会社は62.1%に達しています
  • 知名度や待遇で差がつくぶん、中小・地方・SESほど大手に取られやすい構造があります
  • 紹介会社一本だと、手数料・母集団の偏り・スピード負けの三方向で取りこぼしが出ます
  • 複数の紹介会社を束ねて運用するエージェントコントロールで、出会いの幅とスピードを補えます
  • さらにダイレクトリクルーティング・リファラル・技術発信を組み合わせると、紹介への偏りが下がります

エンジニア採用は、一本足で立っていると簡単に倒されます。紹介会社を束ね、ほかのチャネルも育てて、複数の足で立つ。そのうえで、運用が回らないなら人とAIに任せる。順番に手をつければ、規模で負けていても採れる会社に近づけます。

よくある質問

Q. 中小やSESでも、人材紹介会社は使ったほうがいいですか

使ったほうがよいケースが多いです。エンジニアは応募を待つだけでは集まりにくいので、紹介会社は有効な入り口になります。ただし1社だけだと出会える候補者の幅が狭く、手数料も割高になりがちです。複数を束ねて運用し、ダイレクトリクルーティングやリファラルと組み合わせると、紹介への偏りを抑えられます。

Q. 紹介会社を増やせば、エンジニアの推薦は増えますか

社数を増やすだけでは増えません。むしろ、返信や候補者管理が追いつかず取りこぼす会社が増えます。大事なのは、どの会社が実際に動いているかを数字で見て、効く会社に力を集中させることです。求める技術要件を担当者に分かる言葉で伝え、推薦には素早く反応する。この運用がそろって初めて、推薦は増えていきます。

Q. 大手や自社開発の会社に、待遇で勝てません。どうすればいいですか

待遇だけで勝とうとしないことです。中小やSESには、任せられる裁量の大きさ、幅広い技術に触れられる環境、意思決定の速さといった、規模の大きい会社にはない魅力があります。それを求人票やスカウトで具体的に伝えること。あわせて技術発信を続け、中身で知ってもらう入り口をつくることが、規模の差を埋める現実的な打ち手です。

Q. 採用にかける人手が足りません。複数チャネルの運用まで手が回らないのですが

その場合は、運用を外に出す選択肢があります。一括エージェントは、複数の紹介会社への当日反応・求人票の最適化・紹介会社別の管理までを、人とAIで横断的に代行します。今の紹介会社はそのまま使いながら、運用の手間だけを外に出すイメージです。社内の人手を増やさずに、採用チャネルを束ねて回せます。


エンジニア採用の運用、人とAIでまるごと引き受けます

複数の紹介会社をどう束ねるか、紹介以外のチャネルとどう組み合わせるか。中小・SESのエンジニア採用にあわせて、推薦への当日反応から求人票の最適化までを横断で運用代行します。今の紹介会社はそのまま、手間だけ外に出して採用を前に進めませんか。無料診断からお気軽にどうぞ。

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