訪問介護の求人は、募集を出しても応募が集まりにくい状態が続いています。同じ介護でも、施設の採用とは事情が違います。
「紹介会社を使うと手数料が重い」「求人を出しても資格を持つ人が来ない」という声は珍しくありません。手数料を理由に紹介の受け口を絞ると、ただでさえ細い候補者の流れがさらに細りかねません。訪問介護では、複数の紹介会社の運用を整え、届く紹介の件数を確保する進め方が欠かせないでしょう。
本記事では、訪問介護の採用が厳しくなる理由から、紹介手数料との向き合い方と紹介を増やす運用まで解説します。
記事の一覧には、ほかのテーマもまとめています。
訪問介護の採用が施設より厳しくなる理由
訪問介護の求人は、介護のなかでも際立って埋まりにくい部類に入ります。採り手の少なさと、事業所側の体制の両方に理由があります。
ここでは、その2つを順に解説します。
応じられる人が限られる求人
令和5年度の訪問介護職の有効求人倍率は14.14倍で、施設で働く介護職の3.24倍とは大きな開きがあります。訪問介護の倍率は、この10年で4倍以上に上がりました(厚生労働省『訪問介護事業への支援について(報告)』介護給付費分科会 第242回 資料2)。
求職者1人に14件を超える求人が並ぶ計算です。募集を出して応募を待つ形では、順番が回ってきません。
候補者の数に対して求人の数が多く、1枚の求人票が候補者の目に触れる機会そのものが少ない環境です。
しかも訪問介護には、施設の介護職にはない前提があります。介護保険法は訪問介護を、介護福祉士か、都道府県知事の指定を受けた研修を修了した人が行うサービスと定めています(介護保険法第8条第2項、介護保険法施行令第3条)。
介護職員初任者研修が、この研修に当たります。
実際、訪問介護員の半数は介護福祉士です(厚生労働省『令和6年介護サービス施設・事業所調査の概況』)。無資格の応募者をその日から現場に出して育てる進め方は、訪問介護では取れません。

採用を担当する人がいない規模
もうひとつは、事業所側の体制です。訪問介護員が在籍する事業所の平均は13.0人で、そのうちフルタイム勤務は4.8人にとどまります(公益財団法人介護労働安定センター『令和7年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査』)。
この規模では、採用の担当を専任で置く余裕がありません。管理者やサービス提供責任者が、訪問と請求の合間に求人と紹介会社の対応を見る形になります。
採用は、手が空いた時に進める仕事になりがちです。
厚生労働省も、訪問介護の課題として「特に小規模な事業所は、経営改善のためのノウハウや必要な人材がいない」と挙げています(前掲・介護給付費分科会 第242回 資料2)。
さらに、利用者が増えればサービス提供責任者を増やす義務が生じます(指定居宅サービス等基準 第5条)。事業を広げたい時ほど、採用しなければならない職種が増えます。

手数料の判断材料が施設の調査しかない状況
手数料の水準を確かめようとすると、参照できる調査は限られます。
ここでは、よく引かれる数値の範囲と、単価の交渉で起きることを解説します。
介護職の紹介手数料としてよく引かれるのは、全国老人福祉施設協議会が2023年に会員へ実施した調査です。紹介会社を通して常勤の介護福祉士を迎えた場合の支払額は、1人あたり891,373円が平均でした(公益社団法人全国老人福祉施設協議会 介護人材対策委員会『令和5年度 人材紹介手数料実態調査報告』)。
ただし、回答した施設の7割近くを特別養護老人ホームが占めます。訪問介護事業所を単独の区分として集計した項目は置かれていません。
この数字は施設で採用した実績にもとづくもので、訪問介護事業所が同じ水準を払っているかは示しません。介護全体の相場は介護施設の人材紹介手数料で扱っています。
手元で確かめられるのは、いま契約している各社から実際に何件の推薦が届いているかです。
料率の引き下げ交渉に向かうと、別の問題が起きます。担当者は同時にいくつもの求人を受け持つため、手数料を下げた求人は社内での優先順位が落ちやすくなります。
これだけ倍率の高い市場では、推薦が後回しになる影響のほうが重く出るでしょう。
訪問介護の求人を、紹介会社に伝え直す
複数の紹介会社の運用最適化を軸に、訪問介護の求人を各社へどう伝えるかをまとめました。同行の期間や1日の訪問件数の示し方から、会社ごとの推薦件数の記録の付け方まで、サービス概要資料で確認できます。
無料で資料を受け取る紹介の件数を確保する2段の打ち手
打ち手は2つの段に分かれます。契約社数をそろえる段と、その契約を動かす段です。
ここでは、順に解説します。
1. 成果報酬を前提にした契約社数の確保
人材紹介は成果報酬型が主流で、契約を結んだだけでは費用が発生しません。契約書を交わして求人票を預けるところまでは、費用をかけずに進みます。
採用が決まるまで支払いが生じないため、契約社数は増やす方向で考えて差し支えありません。
訪問介護は資格という条件が加わるぶん、1社の登録者では候補者の母数が足りません。社数の目安と増やす手順は紹介会社と何社契約するかで整理しています。
2. 訪問介護の実態を各社へ伝え直す運用
契約を増やしても、各社に情報が届いていなければ推薦は出ません。訪問介護には、伝わっていないことが応募の妨げになりやすい事情があります。
厚生労働省の資料に収載された調査では、訪問介護事業所への就業希望者が少ない理由として「一人で利用者宅に訪問してケアを提供することに対する不安が大きい」が85.3%で最も多く挙がりました(訪問介護事業所75件の回答。前掲・介護給付費分科会 第242回 資料2)。
この不安は、求人票に条件を並べるだけでは解けません。「未経験可」「直行直帰」とだけ書かれていても、候補者には1日の過ごし方が浮かびません。
同行の期間、1日の訪問件数、移動の手段、資格取得の支援の有無まで書いてあれば、担当者が候補者へ説明できます。
先に手をつけたいのは、以下の3点です。
- 契約している各社へ1回の訪問の流れと同行の期間を伝える
- 届いた推薦にその日のうちに一次回答を返す
- 会社ごとに推薦の件数と面接までの日数を記録する
3つとも、新しい道具を入れずに始められます。
エージェントコントロールは、契約中の各社の動きを一覧で押さえ、働きかけの配分を決めていく進め方です。複数社をまとめて動かす考え方に全体像をまとめました。
紹介会社を減らしたり入れ替えたりする話ではありません。いま契約している各社をそのまま使い、渡す情報と返答の速さだけを変えます。
訪問の合間にこの運用を続けるのは簡単ではありません。そこを人とAIで引き受けるのが一括エージェントで、各社への求人情報の提供、推薦への当日の一次回答、推薦件数の記録までを担います。
一括エージェントが運用を引き受けた医療機関の事例では、契約先を入れ替えないまま、各社から届く紹介数が支援前の約2倍になりました。看護師2名の採用が決まったのは、開始から2ヶ月の時点です。
これは医療機関で看護師を採用した事例で、訪問介護の数値ではありません。

まとめ|届く紹介の件数から組み立て直す
本記事では、訪問介護の採用が厳しくなる理由から、紹介手数料との向き合い方と紹介を増やす運用までを整理しました。
- 有効求人倍率は14.14倍で、資格を持つ人しか応じられない
- 手数料の相場として引かれる数字は、施設を対象にした調査に由来する
- 契約社数をそろえたうえで、各社へ訪問介護の実態を伝え直す
とはいえ、フルタイムが4.8人の体制で、情報提供と当日の一次回答と記録を続けるのは簡単ではありません。繁忙期に入れば、返信は数日単位で滞ります。
一括エージェントが担うのは、複数の紹介会社の運用最適化です。契約関係には手をつけず、各社とのやり取りと記録を人とAIで引き受けます。
訪問介護の求人をどう伝え直すかから、ぜひ一度ご相談ください。
よくある質問
Q. 紹介手数料が重いので、紹介会社との契約は減らすべきですか
減らす必要はありません。人材紹介は成果報酬型が主流で、契約を維持しているだけでは費用が発生しないためです。訪問介護は資格という条件が加わるぶん、1社の登録者では候補者の層が薄くなります。手数料が気になる場合も、各社へ渡す情報を厚くして推薦の件数を増やす方向が現実的です。
Q. 無資格の人を採用して、働きながら資格を取ってもらう方法は取れますか
訪問介護のサービス提供に当たれるのは、介護福祉士か、都道府県知事の指定を受けた研修を修了した人に限られます。無資格で採用すると研修の修了を待つことになり、その期間は訪問の戦力に数えられません。資格取得の支援制度がある事業所は、その内容を各紹介会社へ渡しておくと候補者への説明材料になります。
Q. サービス提供責任者は、外部から採用できますか
採用そのものは可能ですが、動きの少ない職種です。令和7年度の介護労働実態調査では、サービス提供責任者の採用率は8.0%、離職率は7.8%で、調査対象7職種のうちどちらも最も低い水準でした。転職市場に出てくる人数が限られるため、複数社に要件を伝えつつ、在籍の訪問介護員が要件を満たす時期も並行して見ておく組み立てになります。
紹介が届く件数を、いまより増やす
無料相談では、いま契約している紹介会社の状況と求人の内容を伺い、推薦を増やすために先に手をつける点を整理してお伝えします。採用の専任者がいない事業所でも回る形に絞ってご提案します。
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