居宅介護支援事業所がケアマネジャーを募集する際、人材紹介会社への依頼が選択肢に入ります。採用が決まった時の手数料の額を基準に依頼先を選んでいる事業所は少なくありません。

「手数料が重くて何人も採れない」「依頼はしているのに推薦が届かない」という声も聞かれます。手数料の水準だけで依頼先を絞ると、有資格者に出会う機会が減りかねません。ケアマネの採用では、金額を交渉するより先に、求める資格区分と配置の期限を決めておく順序が欠かせないでしょう。決まった条件は、契約している各社へ伝え直します。

本記事では、ケアマネの有資格者が増えにくい事情から、2027年3月に猶予が終わる管理者要件を踏まえた依頼の出し方まで解説します。

介護の採用に関するほかのテーマは、記事の一覧から確認できます。


紹介手数料の前に決まるケアマネの資格条件

人材紹介の手数料は、採用が決まった時点で発生します。金額の話し合いは、推薦が届いて選考が進んだ先の工程です。

ここでは、手数料より先に採否を左右する資格の条件を解説します。

介護支援専門員を第一希望とする求職者に対する有効求人倍率は、令和7年6月時点で9.82倍でした(全国社会福祉協議会 中央福祉人材センター『福祉人材センター・バンク 職業紹介実績報告』令和7年6月分)。1人の求職者を、複数の事業所が同時に待っている状態です。

金額の目安として参照できる公的な集計もあります。職業紹介を通じた採用にかかる手数料は、介護分野の全国平均で55.1万円でした(令和5年度実績。厚生労働省『全国及びブロック別 職種別平均手数料(額・分布)』)。

ただしこの集計に介護支援専門員という区分はなく、介護職を含めた介護分野をひとくくりにした平均です。ケアマネ1人あたりの金額として読み替えることはできません。

ケアマネの求人に応募できるのは、介護支援専門員の資格を持つ人に限られます。募集の条件を満たす人が地域にどれだけいるかで、推薦の届き方が決まります。

手数料の交渉で動くのは、採用1人あたりの費用です。会える人の数と、配置までにかかる期間は、資格の条件の側で決まります。

居宅介護支援事業所の事務室で、机に広げた求人票と手帳を見比べながら電話でやり取りする管理者
写真: Mikhail Nilov / Pexels

有資格者が増えにくい制度上の理由

介護支援専門員の資格は、試験に合格したうえで研修を修了すると得られます。その試験を受けられる人の範囲が、あらかじめ絞られています。

ここでは、有資格者の数が採用側の努力では動きにくい事情を解説します。

受験できるのは、介護福祉士などの国家資格を持って働いた期間と、相談援助の業務に就いた期間を合わせて5年以上あり、実際に従事した日数が900日以上ある人です(厚生労働省『介護支援専門員実務研修受講試験の実施について』)。介護の仕事を始めて間もない人は、受験の入り口にまだ立てません。

令和7年度に実施された試験の合格率は25.6%でした(厚生労働省『第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について』)。長い実務を経て受験した人の中でも、資格に届くのは一部です。

資格を取った人が居宅介護支援事業所を選ぶとも限りません。介護保険施設や地域包括支援センターなど、資格を活かせる勤め先はほかにもあります。

募集の条件を緩めても、応募できる人の総数は変わりません。求人票の表現や待遇を見直す取り組みには意味がありますが、母数の薄さを埋めるところまでは届きにくい状態です。ケアマネの採用が難しいと言われる背景には、この構造があります。


2027年3月に迫る管理者要件の期限

居宅介護支援事業所には、ほかの介護サービスにはない期限があります。管理者に求められる資格の切り替えです。

ここでは、期限の中身と、採用計画に与える影響を解説します。

居宅介護支援事業所の管理者は、主任介護支援専門員(主任ケアマネ)であることが求められます。ただし、制度が切り替わった時点で主任介護支援専門員ではない人が管理者を務めていた事業所については、その人が管理者を続けている間に限り、適用が2027年3月31日まで猶予されています(厚生労働省老健局振興課『介護保険最新情報 Vol.843』(令和2年6月5日))。

2026年9月の時点で、残りは7か月ほどです。

期限の先も運営を続けるには、いまの管理者が主任介護支援専門員の研修を修了するか、資格を持つ人を管理者として迎えるかのどちらかを選ぶことになります。

研修は介護支援専門員として一定の実務を経た人が対象で、都道府県ごとに定員と開催時期が決まっています。申し込みの時期を逃すと、次の機会は翌年度に回ります。

採用で確保する道を選んだ場合、対象は主任の資格を持つ人だけです。介護支援専門員の有資格者の中でも、さらに狭い範囲になります。

期限から逆算すると、いつまでに誰を配置するかが先に決まります。手数料の条件を詰めるのは、その配置の道筋を描いた後の工程です。

窓際のデスクでノートパソコンを開き、壁のカレンダーに書き込んだ人員配置の予定を確認する介護事業所の責任者
写真: Arina Krasnikova / Pexels

契約している各社に、求める資格区分は届いているか

複数の紹介会社の運用最適化という観点から、ケアマネの依頼で書き分ける項目をまとめました。主任資格の要否の伝え方、配置時期の共有、契約各社への更新の届け方を、サービス概要資料にまとめています。

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限られた有資格者に届く採用の進め方

配置の期限と求める資格区分が決まったら、次はそれを紹介会社へ届ける段階です。手を入れる余地が残っているのは、ここから先です。

ここでは、依頼先の広げ方と、依頼内容の更新の2つを解説します。

1. 有資格者と出会う機会を増やす契約

人材紹介は成果報酬が主流で、契約を結ぶだけでは費用が発生しません。採用が決まって初めて手数料を支払う仕組みです。

そのため、依頼先を事前に1社へ絞り込む理由はありません。登録している求職者の顔ぶれは会社ごとに違い、主任の資格を持つ人が登録している会社もあれば、介護職の転職を中心に扱う会社もあります。

依頼先が1社だけだと、その会社の登録者に該当者がいない時点で推薦が止まります。依頼先が増えるほど、資格を持つ人と行き当たる機会は増えます。

何社まで広げるかの目安は契約社数の考え方で扱っています。介護分野全体の手数料の相場観は介護職の採用にかかる紹介費用にまとめました。

都道府県の福祉人材センターへの求人登録や、ハローワークでの募集は、紹介会社への依頼と並行して続ける形で足ります。

2. 資格区分を書き分けた依頼内容の更新

依頼先を広げたあとに効いてくるのが、各社へ渡す依頼の中身です。「ケアマネ募集」とだけ伝えると、資格区分の指定がないまま候補者が探されます。

書き分けるのは次の3点です。

  • 主任介護支援専門員と介護支援専門員のどちらを求めるか
  • 配置したい時期と、その背景にある期限
  • 主任の資格がない人を採る場合に、研修の受講を支援するかどうか

3点目を添えると、紹介会社は介護支援専門員の登録者にも声をかけられます。研修の費用や勤務の調整を事業所が引き受ける方針であれば、その内容まで伝えます。

依頼は一度渡して終わりではありません。管理者の予定が変わった時や、募集の優先順位が動いた時は、その都度契約各社へ届け直します。

依頼先が5社あれば、更新のたびに5社ぶんの連絡が生まれます。届いていない会社が残ると、古い条件のまま推薦が続きます。

紹介会社を減らしたり、別の会社へ置き換えたりする話ではありません。取引している会社はそのまま使いながら、渡す条件と更新の記録を整えます。

契約を増やした後に本丸となるのが、この複数の紹介会社の運用最適化です。依頼先を広げる作業は一度で終わりますが、渡した条件を最新の状態に保つ作業は、募集が続く限り残ります。

各社への書き分けと共有を代行しているのが、一括エージェントです。資格区分ごとの依頼文の作成、条件が変わった際の各社への展開、渡した内容の履歴管理を、担当者とAIが分担して進めます。

当社が支援した医療機関の例では、取引する会社を入れ替えないまま、届く紹介の数が支援前の約2倍まで伸び、2か月で看護師を2名採用するに至りました。こちらは医療機関で得られた数値で、介護やケアマネの採用に同じ結果を保証するものではありません。

複数の会社を横断して管理する考え方は複数の紹介会社を束ねる運用にまとめています。

打ち合わせスペースでバインダーの書類を手に、同僚と募集条件を確認し合う介護支援専門員
写真: Mizuno K / Pexels

まとめ|資格の条件から逆算するケアマネ採用

本記事では、ケアマネの有資格者が増えにくい事情から、管理者要件の期限を踏まえた依頼の出し方までを整理しました。

  • 介護支援専門員は有資格者の母数が薄く、募集条件を緩めても応募できる人は増えない
  • 居宅介護支援事業所には、管理者を主任介護支援専門員とする要件の猶予に期限がある
  • 手数料の交渉より先に、求める資格区分と配置時期を契約各社へ伝え直す

資格区分を書き分けた依頼を一度作る作業は、長くかかりません。負担が増えるのは、契約している各社へ同じ内容を届け、変更のたびに更新していく段階です。

居宅介護支援事業所の管理者は、自らも利用者を担当しながら運営に当たる場合が大半です。紹介会社への連絡は、目の前の対応の後に回りやすくなります。

この更新と共有を引き受けているのが、一括エージェントです。取引する会社の顔ぶれは変えずに、依頼文の書き分けと各社への展開だけを外に出す形になります。

契約している各社に渡っている依頼内容の確認から、着手を支援しています。

よくある質問

Q. 主任介護支援専門員は、外部からの採用で確保できますか

確保できますが、対象となる人数は限られます。主任の資格は、介護支援専門員として実務を重ねた人が研修を修了して得るもので、有資格者の中でもさらに狭い範囲です。外部からの採用と並行して、在籍する介護支援専門員に研修を受けてもらう道も検討します。研修は都道府県ごとに定員と実施時期が決まるため、募集要項が公表される時期を先に確認しておきます。

Q. 経過措置の期限までに主任介護支援専門員を配置できない場合はどうなりますか

原則として、期限の後は主任介護支援専門員が管理者を務めることになります。ただし、管理者の死亡や急な退職といった不測の事態で主任介護支援専門員を管理者にできなくなった場合は、その理由と今後の確保計画を保険者へ届け出ることで、要件の適用が1年間猶予されます。地域に他の居宅介護支援事業所がないなど、利用者保護の観点から特に必要と認められる場合は、保険者の判断でこの期間をさらに延ばすことができます(厚生労働省老健局振興課『介護保険最新情報 Vol.843』(令和2年6月5日))。取り扱いは保険者ごとの判断になるため、見通しが立たない段階で相談しておきます。

Q. 主任介護支援専門員の推薦が届きません。紹介会社を見直すべきですか

見直す必要はありません。先に確かめたいのは、主任の資格を求めていることが各社に伝わっているかどうかです。「ケアマネ募集」とだけ渡していると、介護支援専門員の登録者から順に探されます。資格区分と配置時期を書き分けて渡し直すと、担当者が探す対象が変わります。会社ごとに得意な領域の違いはありますが、依頼の中身をそろえた後でなければ、その差は見分けられません。


ケアマネの依頼内容を、各社にそろえられているか

無料相談では、契約している紹介会社の数と、各社へ渡している募集条件をうかがいます。資格区分が伝わっていない会社と、更新が止まっている項目を洗い出し、着手する順番をその場で整理します。

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