紹介会社の推薦に左右される採用計画
中途採用で欠員が出た時、まず人材紹介会社に連絡する企業は珍しくありません。求人票を渡せば候補者を探してもらえて、決まるまで費用も発生しないため、紹介が採用のほぼ唯一の入り口になっている企業もあります。
ただ、「来月何人採れるか読めない」「1人決まるたびに大きな手数料が出ていく」といった状態に陥りがちです。採用の見通しが自社の外側に置かれたままでは、事業計画に合わせた増員も難しくなりかねません。紹介会社は使い続けたうえで、依存度を下げて最適化する進め方が現実的でしょう。
本記事では、紹介依存で起きる3つのリスクから、依存度を下げる3つの軸と段階的なロードマップまでを解説します。
ほかの記事は一括エージェントの記事一覧に並べています。サービスの全体像はサービス概要にまとめています。
紹介依存が進んだ企業に起きる3つのリスク
紹介会社に頼り切った状態は、採用が動いているうちは問題として表面化しません。負担が見えるのは、採用人数や事業計画が変わる時です。
ここでは、コスト・採用の主導権・社内のノウハウという3点から、紹介依存のリスクを解説します。
採用人数に比例して膨らむコスト
紹介会社の手数料は、1人決まるごとに発生します。採用人数が増えれば、支払う総額もそのまま増えていきます。
人材紹介会社が受け取った手数料は、全国で年間およそ9,835億円でした。採用1件あたりにならすと約103万円です(厚生労働省『職業紹介事業報告書(速報)』)。
1人で約100万円のため、年に10人を紹介で採用すると、それだけで1,000万円が外部へ出ていく計算になります。この100万円は早期離職があっても契約の返金規定によっては戻らないことがあり、確認ポイントは人材紹介の返金規定とトラブルのチェックリストにまとめています。
この負担は年々重くなっています。中小企業庁の調査では、採用にかかるコスト(採用担当者の人件費・求人広告費・採用仲介手数料など)が5年前と比べて「増えた」と答えた会社が約7割にのぼりました(中小企業庁『2025年版 中小企業白書』第2-1-47図)。
採用コスト全体が上がり続けるなかで1人あたりの単価が高い紹介に寄せている企業ほど、総額の伸び方は大きくなるでしょう。
自社で立てられない採用人数の見通し
紹介会社に頼り切っている企業では、翌月・翌々月に何人採用できそうかが、紹介会社からの推薦しだいになります。
推薦が届けば選考が動き、届かなければ止まります。自社から候補者に接触する手段がないと、推薦が細った月はそのまま採用も細ります。
事業の計画に合わせて「この時期にこの人数」と動かしたくても、主導権が手元にない状態です。増員のタイミングが読めないまま、現場の欠員が長引きかねません。
社内に蓄積されない採用ノウハウ
候補者を探し、口説き、入社まで惹きつける工程は、採用のなかでもっとも難しい部分です。紹介会社はこの工程を代行します。
そのぶん、経験は社内に貯まりません。自社のどこに魅力があり、どのような言葉が候補者に届くのかという手応えは、自社が候補者と直接向き合って初めて蓄積されます。
紹介に任せきりの状態が続くと、採用担当者が交代した時点で、経験の積み直しから始めることになるでしょう。
紹介会社をやめる必要はありません。やめると、いま採れている分まで止まります。下げるのは「頼り切りの度合い」です。

紹介への依存が進む理由
リスクを把握している企業でも、紹介への依存は少しずつ進みます。理由は、紹介会社の使いやすさにあります。
ここでは、依存が進む仕組みと、手段としての利用との境目を整理します。
紹介会社の利点は、手軽さと立ち上がりの速さです。基本契約さえあれば、求人票を出すだけで動いてもらえます。
急な退職で穴が空き、すぐ候補者を探してほしい場面では、代わりになる手段が限られます。採用の知識や人手が足りない企業ほど、相場の助言まで受けられる紹介会社は使いやすい選択肢でしょう。
一方で、手軽なぶん、ほかの採用手段を育てる動きは止まりやすくなります。求人サイトへの掲載、自社からのスカウト送付、社員への紹介依頼は、どれも最初に手間がかかります。
紹介である程度採用できているうちは、手のかかる方法に着手する理由が生まれにくいでしょう。「困ったら紹介」の状態が続き、ほかの手段を動かせないまま時間が過ぎていきます。
紹介を手軽な手段として使う分には、問題ありません。注意したいのは、ほかの手段を1つも持たないまま頼り切る状態です。
目指すのは、紹介を使いながらほかの手段も少しずつ動かせるようにしておく形です。
依存度を下げる3つの軸
頼り切りの状態から抜け出す方向は、大きく3つあります。順番に進める必要はなく、着手しやすいものから始められます。
ここでは、自社採用力・チャネル分散・エージェントコントロールの3軸を解説します。
3つのうち最優先で着手する対象は、軸3の「いま使っている紹介の最適化」です。すでに動いているチャネルを整える進め方は、成果が出るまでの期間が短くて済みます。
軸1と軸2は、それと並走させる中期の仕込みです。
軸1|自社で採れる力の強化
紹介に任せきりにしていた「候補者を惹きつける」部分を、少しずつ自社に取り戻していきます。
最初の対象は求人票です。「経験者歓迎」程度の薄い内容ではなく、どのような人に何を任せ、入社後にどう活躍してほしいかが伝わる形に書き直します。
年収レンジや評価の基準も明記します。求人票が具体的になると、自社に直接応募する人数も、紹介会社が候補者に勧めやすくなる度合いも変わります。
求人票を書き直した後に直接応募が増えた例は、採用の現場でよく聞かれます。
この力が育つと、手数料を払わずに採用できる人数が増え、ノウハウも社内に残ります。成果が出るまでには時間がかかる一方、頭打ちがなく積み上がる軸と言えるでしょう。
軸2|採用の入り口の分散
紹介という1本の入り口に頼り切らず、ほかの入り口も用意しておきます。
中途採用をしている会社が使っている入り口は、幅広く分かれています。国の調査では、求人サイトが73.8%、ハローワークが73.4%と多く、縁故・リファラル(社員紹介)や派遣もそれぞれ5割ほどが使っています(厚生労働省『企業における採用経路の選択動向等に関する調査研究事業 結果報告書』2025年3月)。
多くの会社は、もともと複数の入り口を併用しています。
なかでも、費用をかけずに使える入り口があります。ハローワークは無料で求人を出せます。
社員に知り合いを紹介してもらうリファラルも、外部にかかる費用はほぼゼロです。社内をよく知る人からの紹介のため、入社後のミスマッチも起きにくくなります。
これらを紹介と組み合わせるだけで、紹介1本だった時より負担は下がるでしょう。
軸3|エージェントコントロールによる紹介の最適化
3つめは、いま使っている紹介から引き出せる成果を増やす軸です。この取り組みをエージェントコントロールと呼びます。
エージェントコントロールとは、契約している複数の紹介会社を横断で運用し、推薦が増えるように整えていく取り組みを指します。返信を速くし、求人票を各社向けに磨き、どの会社が実際に動いているかを数字で確かめて注力先を決めます。
こうした運用で、同じ紹介会社からの推薦の量と質を引き上げます。詳しくはエージェントコントロールとはでまとめています。
推薦がそもそも来ていない場合は、紹介会社が動かない・推薦が来ない原因と打ち手で原因別に整理しています。
管理の選択肢(ツール導入か運用代行か)の比較は人材紹介の管理システム比較にまとめています。
紹介そのものを整える取り組みも、依存度を下げる軸に含まれます。紹介を最適化すると、1人あたりの手間とコストに対して採れる人数が増えます。
同じ予算でより多く、より速く採れるようになれば、紹介1件に振り回される度合いは下がるでしょう。紹介を使いながら主導権を少し取り戻す方向の脱却です。
4つの採用の入り口の特性は以下のとおりです。
4つの採用の入り口を比べる
| 入り口 | 外部にかかる費用 | 立ち上がりの速さ | 社内にノウハウが残るか |
|---|---|---|---|
| 人材紹介 | 高い(1人あたり高額) | 速い | 残りにくい |
| 求人サイト・媒体 | 中(掲載費) | 中 | 少し残る |
| ハローワーク | 無料 | 中 | 少し残る |
| リファラル(社員紹介) | ほぼ無料 | 遅め(社内に依存) | 残りやすい |
費用・特性は一般的な傾向を整理したもの。各社の条件により異なります。
どれか1つに乗り換える話ではありません。それぞれ得意・不得意があるため、紹介を軸にしつつ、無料の入り口とエージェントコントロールを足していく組み合わせが現実的です。
表にある「高い」「残りにくい」という特性は、運用の最適化で動かせます。複数社を束ねて運用すれば、単価も歩留まりも変わるでしょう。

紹介会社頼みから一歩抜け出すには、何から始めればいいか
いきなり紹介をやめる必要はありません。今の紹介を最適化しつつ、無料の入り口を足していく。御社の採用の入り口がいま何本あり、どこから手をつけると負担が下がるかを、無料でご提案します。まずは現状のお話からどうぞ。
無料で資料を受け取る無理なく進める、段階的なロードマップ
3つの軸を一度に全部進めようとすると、現場が回らなくなります。着手の順序を4つの段階に分けます。
ここでは、棚卸しから自社採用力の育成までの4段階を解説します。
段階1|いまの採用の入り口の棚卸し
最初に行うのは棚卸しです。直近1年で採用した人が、それぞれどの入り口から来たかを書き出します。
この作業で、多くの会社が「採用の8割以上が紹介経由だった」というように、想定以上に紹介へ偏っていた事実に気づきます。
自社がどれくらい紹介に寄っているかを事実として把握するところから、脱却は始まります。
段階2|お金のかからない入り口の追加
段階2と段階3は順番待ちにする必要がなく、並行して進められます。先に効果が出やすいのは、いま契約している紹介の最適化(段階3)のほうです。
軸2で挙げた無料の入り口は、1本だけ動かせば十分です。ハローワークに求人を出す方法も、社員に「知り合いにいい人がいたら紹介してほしい」と声をかける方法も、当日から始められます。
この段階ですぐに成果が出なくても構いません。狙いは、「紹介以外でも人が来る」という経験を社内に1つ作ることです。
1人でも紹介以外から採れれば、紹介だけが頼りだという前提が外れます。
段階3|いま使っている紹介の最適化
並行して、軸3のエージェントコントロールに着手します。契約している紹介会社を棚卸しし、実際に動いている会社に絞って、返信を速くし、求人票を磨きます。
ここを整えると、同じ紹介からでも採れる人数が増えます。紹介の最適化と無料の入り口の育成を並行させると、紹介への偏りは両側から下がっていくでしょう。
具体的な手順はエージェントコントロールとはに5ステップでまとめています。
段階4|自社で採れる力の育成
最後が、もっとも時間のかかる軸1です。求人票の作り込み、直接応募への対応、スカウトの運用を進めます。
ここまで来ると、紹介に払う手数料そのものを減らせるようになります。
軸1を最後に置いた理由は、効果が出るまでの期間が長いためです。段階1から段階3で足元の負担を下げながら、その裏で腰を据えて育てる進め方が、現場を止めずに依存度を下げる道筋になります。
段階3と段階4を自社だけでやり切るには、まとまった工数が必要です。紹介会社への当日返信も求人票の作り込みも、ほかの業務を抱えた体制では着手が後回しになりかねません。
この運用を人とAIで肩代わりするのが、一括エージェントの運用代行です。AIが各紹介会社とのやり取りや候補者情報を横断で整理し、人が当日反応・求人票の最適化・関係づくりを担います。
紹介はそのまま使いながら、運用の手間だけを外に出せます。依存度を下げる段階3と段階4を、社内のリソースを増やさずに進められます。
手数料そのものの考え方は人材紹介の手数料相場と「高い」の本音で詳しく扱っています。

まとめ|やめるのではなく、依存度を下げる
本記事では、紹介依存で起きる3つのリスクから、依存度を下げる3つの軸と4段階のロードマップまでを整理しました。
要点は以下のとおりです。
- 紹介への依存が進むと、コストが採用人数に比例して膨らみ、採用の主導権が外に出て、社内にノウハウが残らない
- 依存が進む理由は、紹介の手軽さと立ち上がりの速さ
- 脱却の方向は3つで、最優先はエージェントコントロールによる紹介の最適化
- 進め方は棚卸し・無料の入り口の追加・紹介の最適化・自社採用力の育成の4段階
- 紹介会社をやめる必要はなく、下げるのは「頼り切りの度合い」
一方で、各社への当日返信と求人票の更新を続ける作業には、相応の工数がかかります。ほかの業務と兼任している体制では、着手しないまま時間だけが過ぎかねません。
一括エージェントは、契約中の紹介会社を入れ替えずに、運用だけを人とAIで整えるサービスです。求人の背景を各社へ伝え直す作業、推薦への当日中の返信、社別の推薦件数の記録までを担います。
紹介への偏りを下げる取り組みは、自社の採用経路を書き出す作業から始められます。この一手だけでも、次に着手する対象が見えてくるでしょう。
よくある質問
Q. 「人材紹介に依存しない」とは、紹介会社をやめることですか
紹介会社をやめることではなく、頼り切りの度合いを下げる意味です。紹介をやめると、いま採れている分まで止まってしまいます。紹介は使い続けたうえで、無料の入り口を足したり、紹介そのものを最適化したりして、採用が紹介1本に左右されない状態をつくる進め方が「依存しない採用」です。
Q. まず何から始めればいいですか
採用の入り口の棚卸しからです。直近1年で採用した人が、それぞれどの入り口から来たかを書き出す作業です。多くの会社が、想定以上に紹介へ偏っている状態に気づきます。そのうえで、ハローワークやリファラルなど無料の入り口を1本足すと、最初の一歩として動きやすくなります。
Q. 紹介への依存を下げると、採用人数が減りませんか
進め方によります。紹介を急に止めた場合は一時的に減ります。ここで示している進め方は、紹介を最適化して採れる人数を増やしつつ、別の入り口も育てる順序です。紹介の効率を上げながら入り口を増やすため、合計の採用人数はむしろ増やせるでしょう。
Q. 採用にかける人手が足りません。それでも脱却できますか
できます。人手が足りない体制では、紹介への当日返信も求人票の作り込みも後回しになりがちです。この部分を人とAIで肩代わりする運用代行を使えば、社内の人手を増やさずに、紹介の最適化と入り口の整備を進められます。紹介はそのまま使いながら、手間だけを外に出す形です。
紹介への偏り、人とAIで少しずつほどきます
今の紹介はそのまま使いながら、紹介の最適化・無料の入り口の整備・求人票の作り込みまでを横断で運用代行します。採用の入り口を1本に絞らず、頼り切りから一歩抜け出しませんか。無料診断からお気軽にどうぞ。
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