看護補助者の欠員を人材紹介会社で埋めると、請求される手数料は看護師より小さい金額で収まります。年収の水準に料率を掛けて算出されるため、年収の低い職種ほど金額も小さくなります。
事務長からは「看護師より安いので気にしていなかった」「件数が重なると予算に収まらない」といった声が挙がります。小さい金額だからと1件ずつ積み上げると、年度の途中で紹介の予算を使い切りかねません。手数料は年収に対する比率では19.3%に達するため、料率の値切りではなく、依頼先を増やしたうえで紹介の運用を最適化する順序が欠かせないでしょう。
本記事では、金額の大小では判断できない理由から、1件あたりの単価を下げる2段の進め方まで解説します。
医療機関の採用と紹介会社の付き合い方を扱った記事は記事一覧にまとめています。
金額の小ささで判断できない看護補助者の手数料
看護補助者の紹介手数料は、看護師や薬剤師の請求額と並べると小さく見えます。ただし、支払う側が1年で確保できる枠の大きさも、職種ごとに違います。
ここでは、1件の金額を比較の基準に置けない理由と、最初に着手する作業を解説します。
基準になるのは、1件の金額そのものではなく、その職種の年収に対する比率です。
金額の差を生んでいるのは、年収の水準の差です。看護補助者の料率が低く設定されているために金額が小さくなっている、という関係ではありません。
着手する作業は1つです。依頼している紹介会社ごとに、契約書に書かれた手数料率と、直近3か月に届いた看護補助者の推薦の件数を1枚の表に並べます。
表にすると、料率が低いのに推薦がほとんど届いていない会社と、料率が高くても推薦が続いている会社に分かれます。1年で支払う総額は、この2列の組み合わせで決まります。
この表があると、料率を相談する相手と、運用を変える相手を切り分けられます。料率の一律の引き下げを全社へ申し入れる必要はありません。

手数料が年収の19.3%にあたる理由
看護補助者の手数料の水準は、公的な調査で確認できます。1件あたりの金額と、年収に対する比率が同じ表に載っています。
ここでは、金額と比率の関係と、年間の枠から見たときの重みを解説します。
採用1件あたりに職業紹介事業者へ支払った手数料額を回答した180事業所では、看護助手の平均が58.7万円でした(厚生労働省職業安定局「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査 集計結果(概要)」)。
同じ調査は、看護補助者の年収を303.1万円として、手数料額の平均が賃金に占める割合を19.3%と算出しています。年収は平成30年賃金構造基本統計調査から取られた額です。
同じ表では、看護師・准看護師の割合が19.1%と算出されています(前掲・医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査)。年収に対する比率で見ると、看護補助者の手数料は看護師・准看護師とほぼ同じ水準です。
ただし、この金額は令和元年に実施された調査の結果で、現在の相場を示すものではありません。手元の契約書に書かれた料率と突き合わせるための、過去の参照点として扱います。
この比率に、もう1つ別の重みが重なります。看護補助者の採用に年間で確保できる枠は、看護師の採用に充てる枠より小さく組まれることが多いでしょう。
枠が小さいと、同じ1件でも次の発注をためらう段階が早く来ます。金額の小ささと予算枠の小ささが同時に起きている点が、この職種の採用コストの特徴です。
そのため、年収に対する比率と年間の枠への影響の2つで測り直すほうが実務に近くなります。

求人方法に挙がる紹介と、足りない予算枠
看護補助者の採用では、紹介以外の経路も広く使われています。そのなかで紹介がどの位置を占めるかは、近年の調査に表れています。
ここでは、求人方法として紹介を挙げた病院の割合と、予算の面で出ている困りごとを解説します。
看護補助加算などの加算を取得している医療機関のうち、看護補助者について回答した1,020病院では、求人方法として有料職業紹介を挙げた病院が29.3%でした(複数回答。厚生労働省 医療専門職支援人材確保・定着支援事業「令和7年度アンケート調査結果報告書」)。
加算を取得している医療機関に限った割合です。ハローワークや自院のホームページと併せて、紹介を求人方法の1つに挙げている病院が3割近くを占めています。
同じ1,020病院に看護補助者の採用で困難な点を尋ねた質問では、「有料職業紹介を利用するための予算を確保できない」を挙げた病院が21.9%でした(複数回答。前掲・令和7年度アンケート調査結果報告書)。
求人方法に紹介を挙げた病院の割合と、紹介の予算を確保できないと答えた病院の割合が、どちらも2割から3割の範囲に収まっています。経路としては使われており、費用の面では枠が足りないという回答が、同じ調査に同時に出ています。
この2つが同時に出ている状況では、紹介を手放す判断も、枠を広げる判断も取りにくくなります。残るのは、同じ枠のなかで1件あたりの単価を下げる方向でしょう。
看護師1人あたりの手数料の見方は看護師採用のコスト・紹介手数料を下げるで扱っています。少人数の体制で看護職を採る場合の進め方はクリニックの看護師採用ガイドにまとめています。
1件あたりの単価を下げる2段の進め方
1件あたりの単価を決めるのは、契約書の料率だけではありません。同じ料率でも、届く推薦の件数と採用に至る件数が変われば、1人を採るまでにかかる期間と手間が変わります。
ここでは、単価を下げる二段の順序を解説します。
一段目は、依頼先の数をそろえる段です。看護補助者の紹介も成果報酬が中心で、契約書を取り交わしただけでは請求は立ちません。
請求が発生するのは入職が決まった時点に限られるため、依頼先は足す方向で検討できます。看護補助者の登録者が各社に常にいるとは限らず、1社に預けただけでは推薦のない月が出てきます。
依頼先が1社のままだと、その月をただ待つことになります。持てる社数の目安と決め方は紹介会社の社数の目安で扱っています。
看護補助者1件あたりの単価、同じ予算の枠のままで下げませんか
複数の紹介会社の運用最適化をお引き受けし、依頼先を足したあとも推薦が途切れない状態をつくります。サービス概要資料では、募集条件の伝達、推薦への当日の返事、社ごとの実績記録のどこまでを代行できるかをまとめています。看護補助者を含む病院での進め方も、資料のなかで確認できます。
無料で資料を受け取る二段目が本丸です。足した依頼先を実際に動かし、看護補助者の推薦が各社から途切れずに入る状態を保つ運用です。
この段で手を入れるのは、次の3点です。
- 推薦への返事をその日のうちに戻す
- 無資格・未経験を受け入れる範囲を全社へ同じ内容で渡す
- 社ごとの推薦件数と採用件数を月ごとに記録する
3点目の記録がたまると、料率の高い会社のほうが1人あたりの負担を小さく抑えていた例も見えてきます。推薦が多く採用までの期間が短い会社では、同じ年度のなかで埋まる欠員の数が増えるでしょう。
依頼先をまとめて動かすこうした進め方には、エージェントコントロールの呼び名が付いています。詳しい進め方はエージェントコントロールの全体像で扱っています。
ただし、この運用を看護部長や事務長が通常の業務のあいだに続けるのは難しくなるでしょう。ここを引き取るために、一括エージェントは人の手とAIを組み合わせた運用代行を用意しています。
いま取引している紹介会社は1社も置き換えず、そのままの契約で各社との連絡を横断して引き受けます。届いた推薦と選考の状況はAIが一画面に束ね、募集条件の伝達と推薦への返事は担当者が人の手で行います。
医療機関の例では、紹介会社を1社も替えずに届く推薦の件数が約2倍になり、看護師2名の採用が2か月のうちに決まりました。医療の職種で出た数値であり、ほかの職種で同じ結果になる保証はありません。
ハローワークの窓口や職員の知人への声かけは、費用をかけないまま並行して続けられます。紹介の運用を主に置いたうえで、その横に添える補助という位置づけです。
まとめ|年収に対する比率から見直す看護補助者の採用コスト
本記事では、看護補助者の手数料を金額ではなく比率で測り直す見方から、1件あたりの単価を下げる二段の順序までを整理しました。押さえどころは3点です。
- 1件の金額は看護師より小さいが、年収に対する比率は看護師・准看護師とほぼ同じ
- 求人方法に紹介を挙げた病院と、紹介の予算を確保できない病院が同じ調査に同時に出ている
- 単価を下げる順序は、依頼先の数の確保が先で、増やした依頼先を動かす運用が本丸
依頼している会社ごとに手数料率と直近の推薦件数を1枚に並べる作業から始められます。

とはいえ、各社への連絡と推薦への返事を毎日さばく時間は、病棟と事務の仕事の合間には残りません。依頼先が増えれば、連絡の本数もそれだけ膨らむでしょう。
手放せるのは、この連絡の部分です。募集条件の伝達、推薦への返事、社ごとの実績の記録は、一括エージェントの側へ預けられます。
予算の枠を広げないまま、看護補助者の欠員が埋まる件数を増やす方向へ寄せられます。
よくある質問
Q. 看護補助者の採用で、紹介会社に支払う手数料の目安はどれくらいですか
令和元年の厚生労働省の調査では、採用1件あたりの手数料額を回答した180事業所で、看護助手の平均が58.7万円でした。同じ調査では、看護補助者の年収303.1万円に対して19.3%にあたると算出されています。ただし調査の時点が古いため、現在の相場としては使えません。手元の契約書に書かれた料率と想定する年収から1件あたりの金額を計算し、年間で何件まで発注できるかを先に出しておく進め方が確実です。
Q. 看護補助者の手数料率を下げてもらう交渉から始めてよいですか
順番としては後ろに置くほうが安全です。看護補助者は1件の金額が小さく、料率を下げると、担当者が同じ時期に抱えるほかの求人より優先度が落ちやすくなります。推薦が止まれば欠員の期間が延び、年間の負担はかえって増えます。まずは依頼先の数を確保して推薦が届く状態をつくり、社ごとの記録がたまったあとで、実際に動いている会社と条件を相談する順序が現実的です。
Q. 看護補助者の採用で、人材紹介の利用はやめたほうがよいですか
やめる必要はありません。費用が重く感じられる背景には、依頼先が少ないまま1社からの推薦を待ち続けている運用の問題が隠れている場合が多くあります。紹介を打ち切れば、求人票の作成や応募者への連絡が病院の側へ戻り、人手の負担はかえって膨らみます。いまの契約は残したまま依頼先の数をそろえ、推薦への返事と各社への情報提供を整えて単価を下げる手順のほうが着手しやすくなります。
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