介護職の求人は、同じ市区町村のなかで複数の事業所から同時に出ています。募集を始めた時点で、候補者の画面には近隣の施設の求人も並んで表示されます。

施設長からは「募集を出しても応募が来ない」「紹介会社に頼んでも推薦が届かない」という声が挙がります。欠員のまま月をまたぐと残った職員のシフトが詰まり、次の退職を招きかねません。採用が決まるかどうかは通勤圏にある事業所との獲得競争で先に決まるため、募集を出し直すよりも、紹介会社から推薦が届く経路を切らさない運用へ寄せる姿勢が欠かせないでしょう。

本記事では、介護職の採用が難しくなる仕組みから、推薦が届く経路を保つ契約と運用の組み方まで解説します。

介護の採用と紹介会社の使い方を扱った記事は記事一覧にまとめています。


募集を出しても人数が揃わない介護職の採用

介護職の採用では、応募がまったく届かない事業所だけが困っているわけではありません。面接までは進んでも、必要な頭数に届かない状態が続きます。

ここでは、採用を行った事業所に残る不足の中身と、最初に手をつける作業を解説します。

過去1年間に従業員を採用した入所型の介護施設1,059事業所のうち、採用できた人数と質の評価を「人数・質ともに確保できていない」と答えた事業所は42.0%でした(公益財団法人介護労働安定センター『令和7年度「介護労働実態調査」結果の概要について』)。

採用を行った事業所に限った割合です。募集をかけて面接までたどり着いた施設でも、人数の面では埋まりきっていません。

この状態で募集の文面を書き直しても、届く件数は大きくは動きません。先に確かめるのは、すでに預けてある求人が各社のなかでどう扱われているかです。

最初に手をつける作業は1つです。契約している紹介会社ごとに、直近3か月で届いた推薦の件数と、こちらが返事をした日付を並べて書き出します。

書き出すと、推薦が止まっている会社と、返事が数日空いている求人が同じ表の上に出てきます。この2つが、欠員の埋まる時期を決めています。

介護施設の明るい廊下で、車いすに座る高齢の利用者に付き添って歩く介護職員の後ろ姿
写真: RDNE Stock project / Pexels

採用で競い合う相手は通勤圏の介護事業所

介護職の採用を難しくしているのは、候補者の数の少なさだけではありません。同じ通勤圏にある事業所が、同じ時期に同じ職種を募集している点にあります。

ここでは、競い合う相手が地域の事業所になる仕組みを解説します。

介護の仕事では、働く場所の近さが選ばれる理由の中心にあります。調査に回答した介護労働者20,675人のうち、現在の法人に就職した理由として「通勤が便利だから」を挙げた人は51.8%で、選択肢のなかで最も高い割合でした(複数回答。公益財団法人介護労働安定センター『令和7年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書』)。

通勤の便が最初に来るため、候補者が比べる相手は自宅から通える範囲の事業所に絞られます。県全体の求人の状況が同じでも、実際に競い合うのは近隣の数施設です。

働き手の移動も、介護の内と外の両方にまたがります。中途で入職した介護職員5,956人のうち、直前の職場が介護関係だった人は33.7%でした(前掲・介護労働者の就業実態と就業意識調査)。

3人に1人は、別の介護の職場から移ってきた人です。残りは介護以外の仕事からの入職が多くを占めており、経験者の移動と未経験者の入職が同時に起きています。

採用の難しさは、自施設の求人票の出来だけでは説明がつきません。同じ圏内で同じ時期に動いている事業所の数が、結果を左右しています。

住宅街の道沿いに並ぶ低層の建物と、歩道を自転車で通勤する人の様子を昼間に写した風景
写真: İrem Yılmaztürk / Pexels

同じ圏内で先に埋まる事業所の運用

通勤圏の条件が近い施設が並んだ場合、候補者に先に届くのは、紹介会社の担当者が動かしやすい求人です。動かしやすさは、日々のやりとりの3点に表れます。

ここでは、先に埋まる事業所に共通する運用の3点を解説します。

1つ目は、推薦への返事の速さです。紹介会社の担当者は、同じ圏内にある複数の施設の求人を同時に抱えています。

返事が当日のうちに戻る求人は、次の候補者を当てる先として先に浮かびます。見送る場合も、理由を一言添えて同じ日に返すと、次に届く推薦の精度が上がります。

2つ目は、条件の提示です。賃金の水準は、候補者の判断にも紹介会社の提案にも影響します。

賃金水準の向上を実施している事業所に限ると、採用に効果があったと答えた割合は38.4%で、方策のなかで最も高くなりました(公益財団法人介護労働安定センター『令和7年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書』)。

ただし、近隣と同じ額まで引き上げる話にはなりません。夜勤の回数、入浴介助の体制、残業の実績といった働き方の条件を数字で示すと、同じ賃金帯のなかでも選ばれる理由になります。夜勤帯に何人で入る体制かも条件のひとつで、その人数の下限は施設類型ごとに国の基準で決まっているため、施設類型ごとの夜勤の配置人数を踏まえて書くと数字に根拠が伴います。

3つ目は、各社への情報の渡し方です。契約している会社が複数あっても、渡している情報の厚みは社ごとにばらつきます。

求める経験の範囲、採用したい時期、見送りの基準を同じ内容で全社に渡すと、推薦の方向がそろいます。1社にだけ詳しく話した状態では、残りの会社からは的の外れた推薦が続きます。

3点のうち、返事の速さだけは代わりが立てにくい項目です。施設長が現場に入る時間の長い事業所では、推薦の連絡が翌週まで開かれないことがあります。返事を当日に戻す体制を決めてから、条件や情報の整理へ進む順番が現実的です。

推薦が届く経路を保つ契約と運用

ここまでの3点は、推薦が届いている前提で効く項目です。推薦そのものがゼロの月があると、運用を整えても判断する材料が出てきません。

ここでは、経路を保つための二段の進め方を解説します。

一段目は、契約している紹介会社の数の確保です。介護職の紹介は成果報酬が主流で、契約を交わした時点では費用が発生しません。

そのため、社数は増やす方向で考えられます。1社の担当者が同じ時期に介護職の候補者を抱えていない月は、その会社からの推薦はゼロで終わります。

何社まで持つかの目安と決め方は紹介会社の社数の目安で扱っています。介護職1人あたりにかかる紹介費の見方は介護施設の人材紹介手数料にまとめています。

近隣の施設より先に、推薦が届く状態へ

複数の紹介会社の運用最適化を引き受け、増やした契約から推薦が届き続ける状態へ寄せていきます。サービス概要資料では、各社への募集条件の渡し方、推薦に対する当日の返事の引き受け方、社ごとの推薦実績の集め方をどこまで任せられるかがわかります。介護施設での進め方も、資料のなかで確認できます。

無料で資料を受け取る

二段目が本丸です。増やした契約を動かし、各社から推薦が届き続ける状態を保つ運用です。

有料職業紹介所(人材紹介会社)を活用している事業所に限ると、採用に効果があったと答えた割合は53.4%で、採用の活動のなかで最も高くなりました(前掲・事業所における介護労働実態調査)。活用している事業所のあいだでは、紹介は採用につながった活動として挙げられています。

無料で使えるハローワークや福祉人材センターの窓口、職員の知人への声かけも、同時に走らせられます。費用がかからないため、紹介運用に並走させる補助として置いておく形です。

取引先の紹介会社をまとめて動かす進め方は、エージェントコントロールの名で整理されています。進め方の詳細はエージェントコントロールの全体像で扱っています。

この運用を施設長が1人で続けるのは難しくなります。そこを人とAIで引き受けるのが、一括エージェントの運用代行です。

一括エージェントが担うのは、いま契約している紹介会社をそのまま使いながら、各社とのやりとりを横断で代行する部分です。推薦の履歴と選考の進み具合はAIが一覧に集約し、募集条件の受け渡しと当日の返事、担当者への連絡は人が受け持ちます。

医療機関の例では、紹介会社を1社も替えずに届く推薦の件数が約2倍になり、看護師2名の採用が2か月のうちに決まりました。医療の職種で出た数値であり、ほかの職種で同じ結果になる保証はありません。


まとめ|通勤圏の競争を前提にした採用の進め方

本記事では、介護職の採用が難しくなる仕組みから、推薦が届く経路を保つ契約と運用の組み方までを整理しました。押さえる点は3つです。

  • 採用を行った入所型の施設でも、人数と質を確保できていない事業所が4割を超える
  • 通勤の便が選ばれる理由の中心にあるため、競い合うのは同じ圏内の事業所
  • 返事の速さと条件の提示と各社への情報の渡し方が、先に埋まるかどうかを分ける

契約している会社ごとに推薦の件数と返事の日付を一覧にする作業から始められます。

介護施設の事務室で書類とノートパソコンを前に打ち合わせをする二人の職員
写真: Kampus Production / Pexels

とはいえ、現場に入りながら各社への連絡を毎日回すのは、施設長の時間では収まりません。契約を増やすほど、やりとりの本数も増えていきます。

外へ移せるのは、このやりとりです。各社への募集条件の受け渡し、推薦に対する当日の返事、社ごとの推薦実績の取りまとめを、一括エージェントがまとめて請け持ちます。

施設長が現場に立ったままでも、通勤圏の競争のなかで推薦が途切れない状態に寄せられます。

よくある質問

Q. 介護職の募集に応募がない時、求人票と紹介会社のどちらを先に動かせばよいですか

紹介会社の側です。求人票の書き直しは効果が出るまでに時間がかかる一方、すでに契約している会社への情報の渡し方と返事の速さは、その週から変えられます。まず直近3か月の推薦の件数を社ごとに並べ、推薦が止まっている会社には求める経験の範囲と採用したい時期を伝え直します。求人票の手直しは、各社から戻ってくる反応を材料にすると精度が上がります。

Q. 近隣の施設が賃金を上げた場合、同じ水準まで引き上げないと介護職は採れませんか

同額まで合わせる必要はありません。候補者が見ているのは賃金の額だけでなく、夜勤の回数や入浴介助の体制、残業の実績を含めた働き方の全体です。同じ賃金帯であっても、これらを数字で示している施設のほうが、紹介会社の担当者から候補者へ説明されやすくなります。賃金の調整を検討する場合も、働き方の条件を言葉にして各社へ渡す作業を先に済ませる順番が現実的です。

Q. 介護職が採れない状況が続く場合、人材紹介の利用はやめたほうがよいですか

やめる必要はありません。採れない原因は、預けた求人が各社のなかで後ろへ回っている運用の側にあることが多くあります。紹介を止めると、求人媒体への応募対応と候補者への連絡がそのまま施設の側に戻るため、手間の総量は増えます。契約を残したうえで、推薦への返事と各社への情報の渡し方を整える手順のほうが実行しやすくなります。


介護職の採用、紹介会社の運用の立て直しから始めませんか

複数の紹介会社の運用最適化を中心に、各社への募集条件の受け渡しから推薦への当日の返事、社ごとの推薦実績の集約までを横断で代行します。取引中の紹介会社を1社も外さずに、増やした契約から推薦が届く状態へ寄せていきます。60分の無料相談で、施設の状況にあわせた進め方をご提案します。

無料相談はこちら