夜勤に入れる職員の数で決まる、介護施設の受け入れ体制
特別養護老人ホームや介護老人保健施設では、夜勤帯に置く職員の人数が国の告示で定められています。入所者の数やユニットの数に応じて、最低限の頭数が決まる仕組みです。
施設長からは「職員は採れているのに夜勤の勤務表が組めない」「夜勤に入る顔ぶれが毎月ほぼ同じになる」という声が挙がります。在籍数だけを見て採用を進めると、夜勤帯の基準を満たす勤務表を組めない状態が続きかねません。
募集の段階から夜勤を前提に条件を書き分ける進め方が欠かせないでしょう。夜勤の配置は職員数ではなく夜勤に入れる職員数で決まるためです。
本記事では、施設類型ごとの夜勤職員数の決まり方から、夜勤に入れる頭数を増やす募集条件と、紹介会社の動かし方まで解説します。
介護以外のテーマは一括エージェントの記事一覧にまとめています。
施設類型ごとに変わる夜勤職員の最低人数
夜勤帯に置く職員の人数は、施設の種類と規模によって変わります。根拠になるのは、国が定めた夜勤職員の勤務条件の基準です。
ここでは、特養・老健・グループホームのそれぞれで人数がどう決まるかを解説します。
従来型の特別養護老人ホームでは、入所者の人数に応じて段階的に上がります。入所者が26人から60人までの規模なら、夜勤に入る介護職員または看護職員は2人以上です(厚生労働省『厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準』(平成12年厚生省告示第29号))。
ユニット型では数え方そのものが変わります。入所者の総数ではなく、2つのユニットごとに1人以上を置く形です(同告示)。
ユニットの数がそのまま必要人数に効くため、定員が同じでも従来型とユニット型では頭数が違ってきます。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、事業所を構成する共同生活住居ごとに1人以上です(同告示)。
施設類型ごとの夜勤職員数の数え方
| 施設の種類 | 人数の基になるもの | 夜勤帯に置く職員 |
|---|---|---|
| 従来型の特別養護老人ホーム | 入所者と短期入所利用者の合計人数 | 26人から60人までの規模で2人以上 |
| ユニット型の特別養護老人ホーム | ユニットの数 | 2つのユニットごとに1人以上 |
| グループホーム | 共同生活住居の数 | 共同生活住居ごとに1人以上 |
厚生労働省『厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準』(平成12年厚生省告示第29号)をもとに作成。実際の適用は施設ごとの届出内容によります。

ユニット型を除く介護老人保健施設では、2024年度の介護報酬改定で夜間の配置に緩和が入りました。全利用者への見守りセンサーの導入と、夜勤に入る職員全員のICT機器の使用といった要件を満たすと、1日あたりの配置を1.6人以上にできます(厚生労働省『令和6年度介護報酬改定における改定事項について』)。
ただし機器を入れれば人が要らなくなるわけではありません。常時1人以上を置くことは変わらず、職員が参画する委員会の設置や緊急時の体制づくりも求められます。
在籍する職員数と、夜勤に入れる職員数のずれ
必要な頭数がわかっても、勤務表はそれだけでは埋まりません。在籍している職員の全員が夜勤に入れるわけではないためです。
ここでは、在籍数と夜勤に入れる人数がずれる事情を3つに分けて解説します。
- 育児や家族の介護を理由に深夜の勤務を外れている
- 夜間に判断を任せられるだけの経験がまだない
- 健康上の事情で日勤のみの働き方を選んでいる
1つ目は、法律で認められた請求によるものです。小学校就学前の子を育てる職員は、事業主に請求すれば午後10時から午前5時までの勤務を外れられます。
家族を介護する職員にも同じ扱いが用意されています(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)。
事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、施設の側からこの請求を断ることはできません。夜勤の担い手を数える時は、この職員を最初から外して見る必要があります。
2つ目は経験です。夜勤帯は日中より少ない人数で、急変の一次対応や看取りの場面を受け持ちます。
入職してすぐの職員をそのまま夜勤へ入れられる施設は多くありません。
3つ目は本人の事情です。持病や家庭の状況から日勤のみで働く職員もいて、希望を無視して組み替えられるものではありません。
在籍数を増やす採用と、夜勤に入れる職員を増やす採用は、募集の書き方の時点で分かれます。日勤向けの求人条件のまま募集を続けても、夜勤の勤務表は埋まりません。
なお、在宅系のサービスでは人員の基準が施設とは別の形で効いてきます。そちらの事情は在宅系サービスの人員基準と欠員への備えで扱っています。
夜勤を前提に書き分ける募集条件の3項目
夜勤に入れる職員を採るには、募集の段階で夜勤の中身を出しておく必要があります。「介護職員募集・夜勤あり」だけでは、読んだ側で自分が続けられるかどうかの判断がつきません。
ここでは、求人条件に書き分ける3つの項目を解説します。
- 月あたりの夜勤の回数と、勤務の始まりと終わりの時刻
- 夜勤1回あたりの手当と、明けの日の扱い
- 夜勤帯に一緒に入る職員の人数と役割の分かれ方
1つ目は回数と時間帯です。同じ「夜勤あり」でも、月あたりの回数が少ない職場と多い職場では働き方が別物になります。
2交代制か3交代制かも、応募するかどうかを分ける情報です。育児や介護の事情を抱える層には、拘束の長さが最初の関門になります。
2つ目は手当と休みの扱いです。夜勤手当の額は載っていても、明けの日が休みなのか公休を当てるのかまでは書かれていない場合があります。
給与の総額を少し積み増すより、この1行を足すほうが応募に効く場面があります。
3つ目は夜勤帯の体制です。何人で回すのか、看護職員はどう関わるのか、夜間の急変時に誰へ連絡が回るのかを書いておくと、夜勤の負担が具体的に想像できます。
前の章で挙げた事情のうち、経験を理由に夜勤へ入れない職員については、入職後の段取りも条件のひとつになります。夜勤に入るまでの同行の期間を明示しておくと、経験の浅い層からの応募が届きやすくなります。

書き分けは、求人票を直すところで終わりません。依頼している紹介会社の担当者が、候補者へ同じ中身を口頭で説明できる状態にしておく必要があります。
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条件を書き分けても、届く先が1社だけでは出会える人数が限られます。夜勤に入れる条件の候補者が、どの会社の登録者にもいるとは限らないためです。
ここでは、依頼先を増やす段階と、増やしたあとに効いてくる運用を順に解説します。
人材紹介の多くは成果報酬型です。契約を結ぶ段階では費用が発生せず、採用が決まった時にだけ手数料がかかります。
そのため、依頼先の数は絞るより増やすほうが理にかなうでしょう。窓口を広げるほど、夜勤に入れる層と出会える機会も増えます。
社数の決め方をまとめたのが人材紹介は何社と契約すべきかです。手数料の水準と抑え方は介護施設の人材紹介手数料は下げられるで詳しく書きました。
本題は、増やしたあとの動かし方です。夜勤の条件を書き分けても、それが各社の担当者に届かないまま置かれていると、推薦は日勤を希望する候補者に寄っていきます。
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一括エージェントが運用を担った医療機関の例では、契約先を入れ替えずに、届く紹介の数がおよそ2倍へ伸びています。看護師2名の入職までにかかった期間は2か月でした。
医療機関で得た数値のため、介護施設で同じ結果になるとは限りません。
福祉人材センターのような無料の窓口も並走させられます。ただし紹介の運用を整えるのが先で、こうした窓口はそこへ足す補助の位置づけです。
まとめ|夜勤に入れる頭数から組み立てる募集
本記事では、施設類型ごとの夜勤職員数の決まり方から、夜勤に入れる頭数を増やす募集条件と紹介会社の動かし方までを整理しました。押さえておく点は3つです。
- 従来型の特養は入所者の人数、ユニット型はユニットの数で夜勤の必要人数が決まる
- 在籍数ではなく夜勤に入れる職員数で勤務表を見ると、募集で伝えるべき条件が定まる
- 夜勤の回数と手当、夜勤帯の体制を求人条件に書き分けたうえで、依頼先を増やし、その運用に手をかける
採用の人数を積み増しても、日勤の職員が増えるだけでは夜勤の勤務表は変わりません。求人条件の1行を夜勤向けに直すほうが、先に効いてきます。

ただし、施設を回しながら各社への当日返信と求人条件の更新を続けるのは、施設長が1人で背負うには量が多すぎます。
一括エージェントは、複数の紹介会社の運用最適化を軸に、推薦への当日反応、求人条件の書き直し、会社ごとの実績の把握までを人とAIで引き受けます。
いま契約している紹介会社を1社も外さないまま、夜勤に入れる職員へ求人が届く状態に寄せていけるでしょう。
よくある質問
Q. 特別養護老人ホームの夜勤は、最低何人で回せますか
従来型は入所者と短期入所利用者の合計人数で決まり、26人から60人までの規模なら2人以上です。ユニット型は数え方が変わり、2つのユニットごとに1人以上を置きます。定員が同じでも、従来型かユニット型かで必要な頭数は変わります。届け出ている区分によっても人数は動くため、自施設の届出内容とあわせて確認する必要があります。
Q. 見守り機器を入れれば、夜勤の人数を減らせますか
ユニット型を除く介護老人保健施設では、2024年度の介護報酬改定で夜間の配置基準が緩和されました。ユニット型の老健は対象外です。要件は全利用者への見守りセンサーの導入、夜勤に入る職員全員のICT機器の使用、安全体制の確保で、常時職員を置く点は変わりません。緩和後の水準は本文にまとめました。負担を軽くして夜勤を続けられる職員を増やすための仕組みと見ておくのが実態に近いでしょう。
Q. 夜勤の担い手が採れないなら、紹介会社との契約はやめるべきですか
いま契約している会社をやめる必要はありません。夜勤の可否まで本人に確かめたうえで会える経路として、紹介会社は数少ない入り口の1つです。契約を解けば、いま進んでいる募集の流れまで止まります。取り組みやすいのは、契約を残したまま運用のほうを整える進め方です。夜勤の回数と手当、夜勤帯の体制を求人条件に書き足し、その中身を各社の担当者へ伝え、推薦への返事を早めると、勤務表の穴は埋まりやすくなります。
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