紹介会社を入れ替えずに、紹介数が約2倍になった事例

複数の人材紹介会社と契約しているのに、思ったほど看護師の推薦が集まらない。医療機関の採用で、よく聞く行き詰まりです。

契約している会社の数は増えても、採用の結果にはなかなか結びつきません。

こうした状況で、紹介会社の顔ぶれを選び直そうとする医療機関は少なくありません。ただ、会社を入れ替えても発注する側の運用が変わらなければ、推薦の量はまた元に戻りかねません。

この記事では、ある医療機関の事例をもとに、成果を分けたのが紹介会社の入れ替えではなく運用の変更だったことを整理します。変えたのは、窓口の一本化、推薦へのその日のうちの反応、求人票の伝え方という3点です。

なお、この事例で扱う医療機関について、守秘のため、施設の種別や地域といった周辺情報は一部を再構成しています。本文で挙げる数値は、当社が確認した実績です。

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導入前|契約はあるのに、紹介が増えない状況

まず、運用を変える前の状況を整理します。

この医療機関は、看護師の採用を複数の紹介会社に任せていました。ただ、各社からの連絡はそれぞれ別々に届き、対応する担当者も窓口も分かれていました。

誰がどの会社とやり取りしているのかが見えにくく、返信の抜けも起きやすい状態です。

窓口が分かれていると、それぞれの担当者との会話が個々の記憶に残るだけで、全体としてどの会社が動いているのかをつかめません。推薦が届いても、どれを優先して返すべきかの判断が遅れます。

医療機関にかぎらず、採用を専任で担える人を置くのは簡単ではありません。『日本の人事部 人事白書2022』の調査では、採用業務だけに専念している担当者は10.4%にとどまり、半数の50.5%は他の人事業務と兼務していました(『日本の人事部』人事白書2022)。

採用が片手間になれば、紹介会社への返信は他の仕事の合間に回され、数日空くことも珍しくありません。

別々の窓口に届く紹介会社からの連絡に、医療機関の事務担当者が一件ずつ個別に対応している様子
写真: RDNE Stock project / Pexels

求人情報の中身にも課題がありました。紹介会社に渡していたのは、募集職種と最小限の条件だけの内容で、担当者が候補者にその職場の魅力を語れる状態ではありません。

何を任せる職場なのかが伝わらなければ、紹介会社の側も誰を推薦していいか判断がつきません。

紹介一本に偏るほど、手数料の負担も重くなっていきます。費用の面は看護師採用のコスト・紹介手数料を下げるで詳しく触れています。

この医療機関でも、推薦が伸びない一方で採用単価だけが積み上がる、という構図に近づいていました。


運用で変えた3つのこと

この医療機関が着手したのは、紹介会社の見直しではなく、自分たちの運用の見直しでした。紹介会社を入れ替える前に、まず発注する側の動き方を整えるのが最優先の一手です。

手をつけたのは、次の3点でした。

窓口の一本化

バラバラに届いていた紹介会社との連絡を、一つの窓口に集約しました。各社からの推薦、候補者の状況、次に返すべき返事を、同じ場所で一覧できる形にします。

窓口が分かれていると、対応の抜けや二重連絡が起きます。まとめるだけで、どの会社に何を伝えたかが追える状態になり、返信の抜けが減っていきます。

特別なシステムは使っていません。道具よりも、連絡を必ず一か所に通す習慣をつくれるかどうかが分かれ目になります。

推薦への当日反応

紹介会社から推薦が届いたら、その日のうちに受け取りの返事を入れる形に改めました。すぐに合否を判断できなくても、いつまでに結果を返すかだけは当日のうちに伝えます。

反応が速い発注先は、紹介会社にとって動きやすい相手です。返事を待たせないだけで、次の推薦が回ってきやすくなります。

お金をかけずに、その日から始められる変更です。

合否の判断そのものに時間がかかる案件もあります。それでも、受け取った事実と、いつ返すかの見込みだけを先に伝えておけば、紹介会社は次の動きを止めずに進められます。

紹介会社に伝わる求人票

どんな看護師に来てほしいのか、任せたい業務や勤務のかたち、入職後の働き方までを、担当者が候補者に説明できる粒度で書き直しました。年収の幅や勤務時間も、あいまいにせず具体的に渡します。

募集職種と条件だけを書いた求人票では、担当者は候補者に職場の中身を語れません。任せる仕事や一緒に働くメンバーの様子まで伝われば、担当者はそれを候補者に届けられます。

あわせて、どの紹介会社から何件の推薦が来ているかを記録し、実際に動いている会社には情報を厚めに渡すようにしました。感覚ではなく、記録をもとに力の入れどころを決める形です。

成果を分けたのは、紹介会社の入れ替えではなく、運用の変更でした。

この3点は、複数の紹介会社を横断で運用して推薦を増やすエージェントコントロールとはの考え方を、一つの医療機関で実践したものと言えます。特別な手法ではなく、渡す情報と反応の速さを整えただけです。

医療機関の担当者が紹介会社からの推薦メールをその日のうちに確認し、一つの画面で候補者の状況を見ながら返信している様子
写真: Burst / Pexels

紹介会社との運用、どこから見直せば紹介は増えますか

複数の紹介会社の運用最適化で、この事例の医療機関は何を変えたのか。窓口の集約から推薦への反応、求人票の整え方までを一冊にまとめました。無料でお受け取りいただけます。

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成果|2ヶ月で看護師2名、紹介数は約2倍

運用を変えた結果、各紹介会社からの紹介数は、およそ2倍に増えました。広がった母集団のなかから、看護師が2名、2ヶ月のうちに採用へと決まっています。

紹介数が伸びたのは、窓口をまとめて反応を速めたことで、この医療機関が紹介会社にとって「動きやすい発注先」になったからだと考えられます。求人票を整えたことで、担当者が候補者に職場を勧めやすくなった点も効いています。

ここで確認しておきたいのは、この医療機関が紹介会社を一社も入れ替えていない点です。契約先はそのままに、渡す情報と反応の速さを変えただけで、紹介の量は動きました。

会社を選び直すのは、この運用を整えたうえで、それでも特定の領域で足りないときの選択肢です。

紹介会社を替える判断には、それまで築いた関係や、各社が抱える候補者とのつながりを一度手放す面もあります。まずは今ある関係のなかで運用を整えるほうが、遠回りに見えて近道だった、というのがこの事例の示すところです。

医療現場で働く看護師と、採用が決まって新しく加わったスタッフが引き継ぎをしている様子
写真: Karola G / Pexels

小規模なクリニックで少数の紹介会社を回す進め方は、クリニックの看護師採用ガイドで紹介しています。規模は違っても、窓口をまとめて速く返すという軸は共通です。


この事例が示すこと

この記事では、ある医療機関の事例をもとに、成果を変えたのが紹介会社の入れ替えではなく運用の変更だったことを整理しました。

紹介会社を選び直す前に、窓口をまとめ、推薦に速く反応し、求人票を伝わる形に整えます。着手したのはこの3点だけで、紹介はおよそ2倍に増え、看護師2名の採用につながりました。

ただし、これを毎日、通常の業務と並行して続けるのは簡単ではありません。専任の担当を置きにくい医療機関ではなおさらでしょう。

当日の反応も求人票の手入れも、ほかの業務に押されて止まりやすいのが実情です。

一度整えても、担当者が代われば運用は元に戻りがちです。仕組みとして続く形にしておかないと、せっかくの成果も一度きりで終わりかねません。

こうした運用の担い手を、人とAIの分担に置き換えたのが一括エージェントです。紹介会社ごとのやり取りや候補者の状況はAIが一か所に束ね、担当者は推薦への返事や求人票の手入れ、紹介会社との関係を保つ仕事に集中します。

今回の医療機関のように、契約先はそのままで、運用の手間だけを社外に移すという進め方です。

よくある質問

Q. 紹介会社を入れ替えなくても、紹介数は増えますか

増える余地は十分にあります。この事例でも、契約先を一社も変えずに紹介数が約2倍になりました。

推薦が伸びない原因は、紹介会社の顔ぶれよりも、発注する側の窓口の分かれ方や反応の遅さにあることが多いためです。まず運用を見直し、それでも特定の職種や地域で足りなければ、その領域に強い会社を足す、という順番が現実的です。

Q. 2ヶ月で2名という成果は、どの医療機関でも同じように出ますか

成果の出方は、もとの運用状態や採用したい職種、地域の状況によって変わります。今回の数値は、ある医療機関で実際に確認できた結果であり、すべての施設で同じ数字を約束するものではありません。

ただし、窓口の集約や推薦への当日反応は、施設の規模を問わず取り組める運用です。まずは自分たちの運用のどこに伸びしろがあるかを確かめることが、無理のない出発点になります。

Q. 自分たちで運用を変えるのと、代行を頼むのはどう違いますか

3つの運用は、どれも自分たちで始められます。違いは、それを毎日、継続して回しきれるかどうかです。

専任の担当を置きにくい医療機関では、当日の反応や求人票の調整が、ほかの業務に押されて止まりがちです。代行を使う場合は、日々のやり取りを任せて、施設側は最終的な判断に集中する、という分け方になります。


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