医療・介護・保育で最も高い、医師の紹介手数料

医師の採用では、求人を出しても候補者がなかなか集まらず、人材紹介会社を頼みにする病院やクリニックが大半です。1名の採用が決まるたびに、数百万円規模の手数料が発生することも珍しくありません。

負担を軽くしようと、料率の値切りや紹介会社の入れ替えに動く医療機関は少なくありません。ただ医師は候補者の母集団がもともと薄く、この2つは効きにくいうえ、進め方を誤ると推薦そのものが止まりかねません。

この記事では、医師の紹介手数料が医療・介護・保育の分野で最も高い理由と、常勤・非常勤で手数料の桁が変わる仕組みを公的データで整理します。そのうえで、複数の紹介会社の運用最適化が、コスト面で最も投資対効果の大きい打ち手になることを解説します。

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手数料を押し上げる、医師特有の2つの事情

医師の紹介手数料が高い水準になるのには、医師という職種ならではの理由があります。ここでは大きく2つに整理します。

1つ目は、単価そのものの高さです。紹介手数料は採用者の想定年収に料率をかけて決まるため、年収の高い医師は、同じ1名でも金額が跳ね上がります。

2つ目は、地域と診療科の偏りです。医師の分布には地域差・診療科差があり、国は医師偏在指標を使って医師の多い区域と少ない区域を線引きし、都道府県に医師確保計画の策定を求めています(厚生労働省『医師確保対策』)。

小児科や産科のように診療科別の偏在指標まで示されている分野もあり、地域によっては常勤医が慢性的に足りません。

こうした診療科や地域では強い売り手市場になり、募集しても応募が来ないため、手数料を払ってでも紹介に頼らざるを得ません。

医師に限らず、病院にとって人材紹介は主要な採用ルートです。2020年に328病院へ行われた調査では、回答した病院の73.5%が人材紹介会社を利用していました(全日本病院協会・日本医療法人協会・福祉医療機構『「病院の人材紹介手数料」に関するアンケート調査』)。

紹介が採用の柱である以上、その使い方しだいで手数料は大きく動きます。

病院の外来で医師が患者を診察している様子
写真: cottonbro studio / Pexels

職種別の相場の全体像や、地域による手数料の差は人材紹介の手数料相場と「高い」の本音で整理しています。この記事では、医師に固有の事情に絞って見ていきます。


常勤・非常勤・スポットで変わる、手数料の桁

医師の採用には、性格の違う枠が混在しています。手数料は想定年収に連動するため、どの枠で採るかによって金額の桁が変わります。

フルタイムで働く常勤医は年収が大きく、手数料も高くなりがちです。一方、当直や健診などの単発のスポット勤務や、週に数回の定期非常勤は、想定年収が小さいぶん、1件あたりの手数料も小さくなります。

医師採用の雇用枠と手数料の性格

雇用枠働き方手数料の性格
常勤(フルタイム)無期・週5前後の勤務年収が大きく、手数料も大きくなりやすい
定期非常勤週に数回・4か月以上の契約など想定年収が小さく、1件あたりは相対的に小さい
スポット当直・健診などの単発1件あたりは小さく、短期のため常用就職の統計には入らない

手数料の性格は想定年収と料率の関係から整理したもの。数値の定義は本文の各出典を参照。

ここで注意したいのが、公的な統計に出てくる「医師の平均手数料」の読み方です。

厚生労働省が地域ブロック別にまとめた集計では、医師の平均手数料は1件あたり82万4千円でした(令和5年度実績)。ただしこれは、無期雇用または4か月以上の常用就職を対象にした平均で、単発のスポットは含まず、常勤と定期非常勤をならした数字です(厚生労働省『地域ブロック別の職種別平均手数料額・分布について』)。

全国平均が80万円台にとどまる背景には、年収の小さい定期非常勤の採用が、この平均に含まれていることがあります。常勤フルタイムの医師だけを取り出せば、水準はさらに上がるでしょう。

これに対し、病院での医師採用に絞った調査では、紹介会社経由で採用した医師1名あたりの平均は351.7万円でした。これは常勤・非常勤を区別せず、採用した医師全体をならした単純平均です(全日本病院協会・日本医療法人協会・福祉医療機構『「病院の人材紹介手数料」に関するアンケート調査』、2018年度実績)。

同じ「医師の紹介手数料」でも、対象の取り方で数字は大きく変わります。常用就職をならした全国平均は80万円台、病院での医師採用に絞ると350万円超で、相場を見るときはどの枠・どの範囲の数字なのかを確かめる必要があります。

医療機関が身構えておくべきは、紹介経由で医師を1名採るときの、数百万円という水準です。この金額の大きさこそ、あとで述べる運用最適化の効き目を左右します。

なお、手数料に法律上の上限を設けるべきだという議論も進んでいます。制度をめぐる動きは、同じく人材紹介の手数料相場と「高い」の本音で扱っています。


値切り・入れ替えが効きにくい、医師採用の事情

手数料が重いと、まず料率の値切りや、紹介会社の入れ替えを考えがちです。ただ医師採用では、どちらも思うようには効きません。

値切り交渉には相場という壁があります。紹介会社にも候補者を探す採算ラインがあり、下げすぎると割の合わない求人と見なされ、推薦の優先度が下がります。

医師は候補者の数が限られるぶん、いちど後手に回されると、次の紹介がなかなか届きません。

紹介会社の入れ替えも、単純な解決にはなりにくいところです。医師は母集団が薄く、1社が抱える候補者だけでポジションが埋まることはまれです。

付き合いを切って別の1社に替えても、その会社の手元にいる医師と出会えなければ、採用は前に進みません。

医師向けの紹介会社は診療科や地域ごとに強みが分かれる傾向があり、1社だけでは出会える候補者の幅がどうしても狭くなりがちです。

だからこそ、医師採用では複数の紹介会社を併用するのが前提になります。先ほどの調査でも、人材紹介を使う病院が契約している紹介会社の数は平均5.3社で、10社以下がおよそ8割を占めていました(全日本病院協会・日本医療法人協会・福祉医療機構『「病院の人材紹介手数料」に関するアンケート調査』)。

医師採用で下げどころが眠っているのは、料率そのものより、複数の紹介会社をどう束ねて動かすかという運用の側です。

紹介会社を手放す話でも、1社に絞り込む話でもありません。いま契約している複数の会社を、そのまま活かしながら束ね直すのが現実的です。


最優先の打ち手、複数紹介会社の運用最適化

医師採用のコストを下げるうえで、最初に取り組むべきなのは、いま使っている複数の紹介会社の運用を最適化することです。数ある打ち手のなかで、これを最優先に置きます。

やることは、契約している紹介会社のうち、どこが実際に医師を決めてくれているのかを見えるようにすることです。半年から1年をさかのぼり、会社ごとに推薦の数と、面接・採用まで進んだ数を並べます。

動いている会社には、求める医師像や診療体制の強みをこまやかに共有し、信頼を積み上げます。反応の薄い会社は、契約を整理するか、位置づけを見直します。

平均5.3社を漫然と抱えたままでは、力を入れるべき相手が見えてきません。

医師の紹介は件数が少なく、推薦が届いたときの初動の速さが決定を大きく左右します。当日のうちに反応できる体制があるかどうかで、同じ紹介会社からの次の推薦の量まで変わってきます。

複数の人材紹介会社からの推薦実績を一覧で見比べている会議の様子
写真: Yan Krukau / Pexels

この運用最適化が医師採用でとくに効くのは、1件あたりの手数料が数百万円と大きいからです。決定率や採用単価がわずかに改善するだけでも、金額としてのインパクトは看護師や介護職の比ではありません。

値切りが相場の壁で頭打ちになるのに対し、運用の立て直しは手を入れるほど成果が積み上がります。

こうして複数の会社を横断で束ね、推薦を引き出していく運用全体が、エージェントコントロールの考え方です。詳しい仕組みはエージェントコントロールの基本で説明しています。

この運用そのものを、人とAIの体制でまるごと引き受けるのが一括エージェントです。

実際に、当社が紹介運用を担った医療機関での看護師採用では、紹介の数がおよそ2倍になり、2か月で2名の採用に至った例があります。

医師採用でも、まず手元の複数の会社を束ねて動かすという順番は変わりません。

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複数の紹介会社の運用を最適化する視点から、どの会社が医師を決めてくれているかの見える化と、採用単価の下げ方を整理した資料を無料でお届けします。いまの紹介会社はそのまま、払いすぎを止める進め方をご提案します。

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まとめ|運用最適化で、医師採用のコストは動く

この記事では、医師の紹介手数料がなぜ高いのかと、コストの下げ方を整理しました。

  • 医師の手数料は年収連動と地域・診療科の偏在で、医療・介護・保育のなかで最も高い
  • 同じ医師でも常勤・非常勤・スポットで手数料の桁が変わる
  • 値切りは相場の壁、入れ替えは母集団の薄さで効きにくい
  • 最優先は複数の紹介会社を束ねる運用最適化

医師採用は1件の手数料が数百万円と大きいぶん、運用を整えたときの効き目も大きくなります。料率を1社ずつ削る前に、どの会社が医師を決めてくれているかを把握するところからです。

ただし、契約している紹介会社の稼働を一社ずつ洗い出し、会社ごとに関係を育てる作業を、通常の病院運営のかたわらで続けるのは、簡単ではありません。ある程度の手間と、途切れない管理が要ります。

この一連の運用を、人とAIで担うのが一括エージェントです。あわせて、看護師の採用費用を同じ視点で扱った記事は看護師の採用コストの下げ方に、紹介への依存そのものを弱める進め方は紹介依存を下げるステップにまとめました。

よくある質問

Q. 医師の紹介手数料は、どのくらいが相場ですか

対象の取り方で大きく変わります。厚生労働省が常用就職をならした集計では、医師の平均は1件あたり82万4千円(令和5年度実績)でした。

一方、病院での医師採用に絞った病院団体などの調査では、1名あたり平均351.7万円(2018年度実績)です。

単発のスポットや週に数回の定期非常勤は手数料が小さく、紹介経由で医師を1名採るときの負担は数百万円規模になります。相場を見るときは、どの枠の数字なのかを確かめてください。

Q. 常勤医とスポット・アルバイトで、手数料はどう違いますか

手数料は想定年収に料率をかけて決まるため、枠によって桁が変わります。

年収の大きい常勤フルタイムの医師は手数料も大きくなりやすく、当直や健診などの単発スポット、週に数回の定期非常勤は、想定年収が小さいぶん1件あたりの手数料も小さくなります。

公的統計の「平均」はこれらをならした数字なので、医師1名あたりの実際の負担とはずれることがあります。

Q. 医師採用で、紹介会社は減らしたほうがよいですか

減らすこと自体が目的ではありません。医師は候補者の母集団が薄く、1社だけでポジションが埋まることはまれなので、複数の会社を併用するのが現実的です。

見直したいのは会社数ではなく、どの会社が本当に医師を決めているのかをつかめないまま、多くの会社を漫然と抱えている状態のほうです。

動く会社に力を集中させ、反応の薄い会社を整理すれば、契約数を無理に減らさなくても手数料は下がっていきます。

病院の事務部門で採用コストの資料を電卓とともに確認している手元
写真: Hanna Pad / Pexels

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