保育所と認定こども園の中途採用では、人材紹介会社からの推薦で欠員を埋める園が増えています。採用が決まるたびに、園には紹介手数料の請求が届きます。

園長や運営法人の採用担当者からは「手数料の負担が重い」「紹介に頼らない形に戻したい」という声が挙がります。費用の重さだけを理由に契約を解消すると、中途の欠員を埋めてきた経路まで細くなりかねません。紹介会社はそのまま使いながら、複数社の運用を最適化して支払いの中身を変える順番が欠かせないでしょう。

本記事では、効果の高い経路に不満が集まる背景から、支払いの中身を変える順番まで解説します。

人材紹介会社との付き合い方をまとめた記事は記事一覧で確認できます。


中途採用で効果が高かった経路と、手数料への低い評価

保育の中途採用では、使った経路ごとに結果の差が出ています。費用への評価は、その結果と同じ方向を向いていません。

ここでは、効果が高かった経路の順位と、手数料に対する評価を解説します。

2024年度に中途職員を採用した643施設へ、採用に結び付く効果が高かった媒体・経路を最大3つまで尋ねた調査があります。

この調査で、人材紹介会社を挙げた施設は40.1%と、もっとも高い割合でした(独立行政法人福祉医療機構「2025年度 保育所・認定こども園の人材確保に関する調査結果」)。

2番目はハローワークの39.7%で、1位との開きはわずかです。中途の採用では、この2つの経路が並んで使われています。

同じ調査で人材紹介会社を利用した424施設に満足度を尋ねた設問では、紹介手数料を「とても不満」と答えた施設が56.4%でした(前掲・2025年度保育所・認定こども園の人材確保に関する調査結果)。

この設問は紹介の迅速さや人材の質など5項目を並べたもので、「とても不満」の割合がもっとも高かった項目が紹介手数料です。

採用に結び付いた経路と、不満がもっとも集まる費用が同じ相手を指しています。

ここで契約を解消すれば、年度の途中に出た欠員を埋めてきた経路が細くなります。残る方向は、契約を続けたまま支払いの中身を変える進め方です。

保育室で子どもたちと床に座り、絵本を広げて読み聞かせをする保育士
写真: Ksenia Chernaya / Pexels

1施設あたり年203万円という支払いの規模

紹介手数料の重さは、1件の請求額と、1年で積み上がる総額の2つで見える形になります。どちらも公的な調査と集計で確認できます。

ここでは、1施設あたりの年間の支払いと、1件あたりの平均額を解説します。

人材紹介会社を使って正規職員を採用したと答えた158施設の平均では、2024年度に支払った紹介手数料の総額が203万円でした(外れ値を除外。前掲・2025年度保育所・認定こども園の人材確保に関する調査結果)。

同じ158施設が紹介会社を使って採用した正規職員は、常勤換算で1.9人です。

この集計は施設単位の回答で、対象は正規職員の全体です。保育士だけを取り出した金額ではない点に注意が必要です。

なお同じ調査では、保育所が紹介会社を使って採用した正規職員の職種として、保育士がもっとも高い割合を占めています。

1件あたりの平均額は、職業紹介事業報告の集計に出ています。保育分野の常用就職1件あたりの平均手数料額は、令和6年度実績で66.8万円でした(厚生労働省「地域ブロック別の職種別平均手数料額・分布について」)。

この金額は、無期または4か月以上の期間を定めた雇用での就職件数をもとに算出されています。令和5年度実績を含む職種別の一覧は人材紹介の手数料相場で確認できます。

年度ごとの金額は動くため、手元の判断材料になるのは契約書の料率と想定年収から出した見込み額です。福祉分野での考え方は介護施設の紹介手数料の見直し方でも扱っています。


手数料の支払いが毎年続く2つの条件

1年で200万円規模の支払いが起きる園では、同じ金額が翌年も立つ状態になりやすくなります。背景にあるのは2つの条件です。

ここでは、支払いが一度きりで終わらない理由を解説します。

1つ目は、中途の欠員が年度の途中に出ることです。養成校との関係づくりや実習生の受け入れは新卒の採用に効きますが、年度の途中に空いた担任の枠を埋める手段にはなりません。

退職の申し出から着任までの期間が短い場合、登録者へすぐ声をかけられる紹介会社が現実的な窓口になります。この構図があるかぎり、紹介経由の採用は毎年発生します。

2つ目は、採用した職員が早い時期に辞めると、同じ枠の採用をもう一度行うことです。

保育分野では、無期雇用で就職した人のうち就職後6か月以内に離職した割合が、事業所の平均で12.2%でした(令和4年度実績から算出。厚生労働省「職業紹介事業における職種別手数料、離職状況について」)。

返戻の規定は契約ごとに異なり、退職の時期や理由によって戻る金額も変わります。採り直しが起きた年は、同じ枠に対する支払いが重なります。

この2つが重なると、手数料は年度ごとの固定費に近い性格を持ちます。そのため、1人あたりの単価と採用までの期間を動かす対象として扱うほうが実態に合います。

園の事務室で書類とノートパソコンを前に採用の予算を確認する園長と事務職員
写真: Karola G / Pexels

紹介手数料の中身を変える順番

支払いの中身を左右するのは、契約書に書かれた料率だけではありません。届く推薦の件数、採用に至る件数、着任までの期間がそろって動きます。

ここでは、着手する順番を2つの段に分けて解説します。

契約する紹介会社を足す段

保育士の紹介は成果報酬での契約が一般的です。請求が立つのは入職の日を迎えたあとで、契約書を取り交わした段階では費用がかかりません。

そのため、依頼先の数は増やす方向で考えられます。1社だけに預けていると、その会社に保育士の登録がない月はそのまま空席が続きます。

見積もりを並べて契約前に1社へ絞る作業も、この段では不要です。どこまで広げるかの目安は契約する社数の決め方で解説しています。

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足した紹介会社を動かす段

手を入れる中心はこの段です。契約した会社へ園の情報を渡し、保育士の推薦が毎月届く状態を保ちます。

作業は次の3つに分かれます。

  • 届いた推薦にその日のうちに検討の方向を返す
  • 勤務シフトと配置、年度途中の受け入れ可否を各社へそろえて伝える
  • 会社別の推薦人数と面接人数を月単位で残す

半年分の記録がそろうと、料率の高い会社ほど着任までの期間が短かった、という並びが見える園もあります。1人あたりの負担は、料率と空席の長さの両方で決まります。

エージェントコントロールは、複数の紹介会社をまとめて動かす運用を指す呼び名です。全体の流れは複数社を束ねる運用の進め方で解説しています。

料率の引き下げを先に持ちかけると、担当者の手元にある別の求人が優先され、園へ回る推薦が減ることがあります。条件の話は、各社から推薦が続けて届くようになってから進めるほうが安全です。

ただし、保育と運営を抱えた園長や主任が、この作業を毎日こなすのは難しくなるでしょう。一括エージェントは、その部分を人の手とAIで引き受ける運用代行です。

契約中の紹介会社を外す必要も、別の会社へ入れ替える必要もありません。今の契約を残したまま、各社とのやり取りと推薦の管理を横断してお引き受けします。

医療機関の例では、取引先を1社も替えずに推薦の件数が約2倍へ増え、看護師2名の採用が2か月で決まりました。これは医療の職種で出た結果で、保育所や認定こども園で同じようになるとは限りません。

養成校への求人票の送付や職員からの声かけは、費用をかけずに続けられます。主に置くのは紹介の運用で、これらは横で支える補助にあたります。


まとめ|運用の最適化から始める保育士の採用コスト

本記事では、効果の高い経路に費用の不満が集まる状況から、支払いの中身を変える順番までを解説しました。振り返ると、次の3つになります。

  • 中途採用で効果が高かった経路の1位は人材紹介会社で、ハローワークとの差はわずか
  • 1施設あたりの年間の支払いは、施設単位の集計で200万円規模
  • 着手の順番は、契約する会社を足す段が先で、足した会社を動かす運用が中心

最初の一手は、契約している会社の一覧に、料率と今年度の推薦人数を書き足す作業です。

認定こども園の園庭で、遊んでいる子どもたちを見守りながら話し合う二人の保育士
写真: Kampus Production / Pexels

とはいえ、各社への連絡と推薦の確認を毎日続ける時間は、保育の現場と運営の仕事のあいだには残りません。契約先が増えるほど、やり取りの本数も積み上がります。

預けられるのは、この連絡と記録です。園の条件を各社へ伝える作業、推薦への返事、会社別の実績の管理は、一括エージェントが引き受けます。

年度の予算を広げないまま、空いた枠が埋まるまでの期間を短くする方向へ動かせます。

よくある質問

Q. 保育士を1人採用すると、紹介会社への手数料はいくらになりますか

公的な集計で参照できるのは分野ごとの平均値です。保育分野の常用就職1件あたりの平均手数料額は、令和6年度実績で66.8万円でした。ただし料率は会社ごとに異なり、実際の請求額は採用した保育士の年収で変わります。相場を押さえたあとは、契約中の会社の料率と募集中の枠の想定年収から1件あたりの見込み額を出しておくと判断が早くなります。その金額をもとに、年度内に何人まで紹介で採用するかを決めておけば、月ごとの発注でぶれません。

Q. 紹介手数料の負担が重い園は、人材紹介の利用そのものを見直すべきですか

やめる必要はありません。中途採用で効果が高かった経路として人材紹介会社がもっとも高い割合で挙がっており、利用を絞れば年度途中の欠員を埋める手段がそのぶん減ります。費用が重くなる背景には、契約先が1社か2社にとどまり、推薦を待つ時間が長い状態も含まれます。すでに契約している会社はそのままにして、まず依頼先の数を足し、そのうえで推薦への返事の速さと園の条件の伝え方を整える順番のほうが、1人あたりの単価に先に効きます。

Q. 契約する紹介会社を増やすと、支払う手数料の総額も増えませんか

契約の数だけでは総額は動きません。保育士の紹介は成果報酬が中心で、請求が立つのは採用が成立したときに限られ、契約を結んだ段階では費用がかからないのが一般的です。年間の総額を決めるのは採用した人数であり、同じ人数を採るなら社数が増えても総額は変わりません。依頼先が増えると推薦の届く機会が広がり、欠員のまま埋まらない期間が短くなる効果のほうが先に出ます。


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