欠員が続く見込み期間で決まる、派遣と紹介の使い分け
介護施設では、職員が1人欠けた時の埋め方として人材派遣と人材紹介の2つが並びます。どちらも介護職の確保に使われていますが、費用の発生の仕方は同じではありません。
施設長からは「派遣なら初期の負担が軽く見える」「紹介の手数料に見合う効果が読めない」という声が挙がります。1日あたりの単価だけで選ぶと、欠員が長引いた時に支払総額が膨らみかねません。
選ぶ基準を料金の比較から欠員が続く見込み期間へ移す姿勢が欠かせないでしょう。長期の欠員を派遣で埋め続けると、支払総額は紹介手数料を超えていきます。
本記事では、派遣と紹介のそれぞれが向く場面から、支払いが積み上がる仕組みと恒常ポジションでの紹介の動かし方まで解説します。
ほかの職種や業種の採用は記事一覧から探せます。
判断の順番は、2つの手段を並べる前にあります。埋めたい席に終わりの時期があるかどうかを先に分けます。
復帰の予定や体制の固まる時期が見えている欠員なら、派遣が収まります。終わりの時期がない恒常ポジションなら、紹介運用の最適化が第一手で、派遣はその間の穴埋めに置く形です。
料金表を並べて1日あたりの単価を比べても、答えは出ません。紹介は入職が決まった時の1回、派遣は在籍した日数に応じて続くという、支払いの形そのものが違うためです。
この分け方は、施設の規模や類型を問いません。終わりの時期が決まっているかどうかだけで、使う手段が絞れます。
介護施設で派遣が向く場面と、紹介が向く場面
どちらの手段にも収まりのよい場面があります。片方を常用する運用になっている施設では、埋めたい席の性質と手段が噛み合わないまま契約だけが続きがちです。
ここでは、派遣が向く欠員と紹介が向く欠員を、期間の見込みから解説します。
派遣が収まるのは、いつまでという区切りがある欠員です。産休や育休に入る職員の代替は、復帰の予定が先に決まっています。
新規開設やユニットの増設で体制が固まるまでの期間も同じです。採用した常勤職員が勤務表に組み込まれるまでの立ち上がりを、派遣で支える使い方ができます。
ショートステイの受け入れが伸びる時期や、介護職員の研修が重なって日勤の手が薄くなる時期も、終わりの日が決まっています。こうした欠員は、恒常の席を増やす話とは別に扱えます。
就業開始までが短い点も、この場面では強みになります。来月から2人分の勤務が空くと決まっている施設にとって、募集から入職までの期間を待てないことがあります。
職員の入れ替わりが前提の期間であれば、派遣の料金はその期間だけの費用で止まります。終わりの日が決まっている欠員で派遣を避ける理由はありません。
埋めたい席の性質から見た手段の選び方
| 埋めたい席の性質 | 終わりの時期 | 向いている手段 |
|---|---|---|
| 産休・育休や長期休職の代替 | 復帰の予定が決まっている | 派遣 |
| 新規開設やユニット増設の立ち上げ期 | 体制が固まるまでの数か月 | 派遣 |
| 常勤の介護職・看護職の欠員 | 区切りがない | 紹介 |
| 退職が重なって空いた夜勤の担い手 | 区切りがない | 紹介 |
欠員の性質と期間の見込みから整理したものです。料金の水準は本文の出典を参照。

紹介が収まるのは、終わりの時期がない席です。常勤の介護職や看護職、ケアマネジャーのように、勤務表の骨格をつくる職員が抜けた状態がこれにあたります。
この席を派遣で埋めると、契約の更新ごとに同じ判断を繰り返すことになります。更新が止まった時点で、同じ欠員がもう一度表に出てきます。
更新のたびに人が入れ替わる場合は、引き継ぎの手間も毎回かかります。入居者の状態や申し送りの作法を覚えた職員が抜けると、残った常勤職員の負担はその都度元に戻ります。
夜勤の担い手も終わりの時期がない席です。夜勤に入れる人数の数え方と募集条件の書き分けは夜勤に入れる職員数の数え方で扱っています。
派遣を続けた場合に支払いが積み上がる仕組み
2つの手段は、支払いの形が根本から違います。長期の欠員で総額が入れ替わるのは、この違いが時間とともに広がるためです。
ここでは、それぞれの費用がどう発生し、どのあたりで総額が並ぶのかを解説します。
紹介は、入職が決まった時の1回で支払いが完了します。介護分野の平均手数料は、常用就職1件あたり59万7千円でした(令和6年度実績。厚生労働省『全国及びブロック別 職種別平均手数料(額・分布)』)。採用した職員が3年勤め続けても、この金額が増えることはありません。
派遣は、在籍した日数に応じて毎月発生します。介護サービス職業従事者の派遣料金は、派遣労働者1人1日8時間あたり16,282円でした(令和6年度の速報値・消費税を含む額。厚生労働省『令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)』)。
この水準で支払いを足していくと、約37日分で59万7千円に並びます。常勤職員と同じ勤務日数で数えれば、2か月に届かない範囲です。
ただし、この37日をそのまま損益分岐と読むことはできません。派遣料金には派遣社員本人の賃金が含まれており、紹介手数料は採用した職員の給与とは別に1回かかる費用だからです。
上乗せとして実際に効くのは、自施設で雇った場合の人件費との差額です。その差額が紹介手数料に並ぶ地点は、施設の賃金水準や手当の設計によって動くため、一律の日数では示せません。
それでも、形としてはっきりしていることがあります。紹介は支払いの終わる日が入職の時点で確定し、派遣は欠員が続くかぎり終わりません。欠員の見込み期間が長いほど、総額の差は紹介の側に寄っていきます。
欠員の見込み期間は、施設の側で動かせる部分があります。退職の申し出から次の職員が入るまでを3か月と置くのか、半年を見込むのかで、派遣に払う総額は倍ほど違ってきます。
この積み上がりは、決算の数字でも見え方が変わります。紹介手数料は採用した年度に1回立つ費用で、派遣料金は毎月の固定費として翌年度にも残ります。
手数料そのものの水準と抑え方は介護職の紹介手数料の相場と抑え方にまとめました。

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区切りのない席を紹介で埋めると決めたあと、やることは2段に分かれます。依頼先を確保する段と、確保した依頼先を動かす段です。
ここでは、この2段をそれぞれ解説します。
1段目は依頼先の確保です。介護分野の人材紹介は成果報酬が主流で、契約の締結そのものには費用が発生しません。請求が立つのは入職が決まった時点だけです。
依頼先の数を絞り込む理由は、この費用の構造からは出てきません。登録している介護職の層は会社ごとに偏りがあり、窓口を1社に限ると、会える候補者の幅がその会社の登録者で止まります。
何社まで確保するかの線引きは契約社数の目安の立て方で扱っています。
2段目が本題です。契約を増やしても、求人票を預けたまま置いていれば推薦の数は変わりません。推薦を左右するのは、依頼したあとの手のかけ方です。
介護職の求人は、どの紹介会社も同時に何十件も抱えています。候補者を打診しても返事が来ない施設は、紹介会社の側で後回しの扱いに入ります。
勤務形態や夜勤の有無、入職後の同行の期間といった条件が各社の担当者の手元にないと、推薦は希望のずれた候補者に寄ります。
渡す条件は、求人票に書いた文面と同じもので足ります。各社の担当者が候補者へ口頭で説明できる状態になっているかどうかが、推薦の質を分けます。
各社とのやりとりと選考の進み具合を1つの台帳に集め、推薦が伸びる状態へ運用を寄せる取り組みを、エージェントコントロールと呼びます。考え方は紹介会社を横断で管理する運用に整理しました。
もっとも、入居者の対応と勤務表の調整を抱えた施設長が、各社への返信と求人条件の手直しを毎週続けるのは現実的ではありません。この部分を人とAIの分担で代行するのが、一括エージェントの提供している中身です。
各社との連絡と候補者ごとの状況をAIが1画面に集約し、求人条件の書き換えと担当者との交渉、推薦が届いた当日の返信を人が受け持ちます。取引中の紹介会社を1社も解約せずに、運用にかかる手間のほうを外へ出せます。
医療機関の例では、一括エージェントが運用を預かったあと、取引先を変えないまま届く紹介の件数が約2倍まで伸びました。看護師2名が入職を決めるまでにかかった期間は2か月です。医療の職種で出た数値のため、介護施設でも同じ水準になると約束できるものではありません。
派遣は、この運用に並走させる補助として置けます。常勤が決まるまでの数か月を派遣で支える使い方なら、2つの手段が同じ欠員を取り合いません。
まとめ|欠員の見込み期間から決める使い分け
本記事では、派遣と紹介が向く場面から、支払いが積み上がる仕組みと恒常ポジションでの紹介の動かし方まで整理しました。要点は次の3つです。
- 復帰の予定や体制の固まる時期が見えている欠員は派遣、区切りのない席は紹介が収まる
- 紹介は入職時の1回で支払いが終わり、派遣は在籍した日数に応じて続く
- 区切りのない席を紹介で埋めるには、依頼先を確保し、そのあとの運用に手をかける
1日あたりの単価を比べるより、埋めたい席に終わりの時期があるかを書き分けるほうが先に効いてきます。

とはいえ、入居者の対応を抱えながら複数の紹介会社と毎週やりとりを続ける余力は、多くの施設に残っていません。求人条件の手直しも、後回しのまま数か月が過ぎることがあります。
一括エージェントが引き受けるのは複数の紹介会社の運用最適化です。推薦が届いた当日の反応、求人条件の書き換え、会社ごとの決定実績の管理までを、人とAIの分担で代行します。
取引している紹介会社はそのまま残し、区切りのない欠員が紹介で埋まる状態へ寄せていく進め方になります。
よくある質問
Q. 介護施設の派遣と紹介は、どちらが費用を抑えられますか
欠員が続く見込み期間によって入れ替わります。紹介は入職が決まった時の1回で支払いが終わり、介護分野の平均手数料は常用就職1件あたり59万7千円でした。派遣は在籍した日数に応じて毎月発生し、公表されている料金は1人1日8時間あたり16,282円です。派遣料金には本人の賃金が含まれるため単純な引き算では分岐点が出ませんが、欠員が長引くほど派遣側の総額は増え続けます。数か月で区切りがつく欠員なら派遣、区切りのない席なら紹介が収まります。
Q. 産休や育休に入る職員の代替は、派遣で埋めてよいですか
復帰の予定が決まっている欠員は、派遣が収まる場面です。終わりの時期が読めるため、支払いの総額も先に見通せます。新規開設やユニット増設で体制が固まるまでの期間も同じ扱いになります。注意したいのは、代替のつもりで始めた派遣が復帰後もそのまま続く場合です。復帰の予定が流れた時点で区切りのない席に変わっているため、その段階で紹介に切り替える判断が要ります。派遣の契約が切れる前に常勤を決めておくと、入れ替わりの間に勤務表が崩れません。
Q. 派遣で回せているなら、紹介会社の契約は解約すべきですか
やめる必要はありません。派遣は期間の区切りがある欠員に向く手段で、区切りのない常勤の席を埋める経路としては紹介が残ります。契約を切れば、いま動いている選考の流れもそこで途切れます。無理がないのは、契約を抱えたまま運用の側を立て直す順番です。勤務形態や夜勤の条件を各社の担当者に渡し、推薦への返事を早め、会社ごとの実績を把握しておくと、常勤の欠員は紹介で埋まりやすくなります。そのうえで派遣を並走させる形が収まります。
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