中途採用で欠員が出てから、補充の入社日が決まるまでに何か月かかるかを読めない企業があります。複数の人材紹介会社と契約し、求人媒体やダイレクトリクルーティングも一部で動かしている状態です。
採用の担当者からは「募集を始めるまでに時間がかかる」「依頼を出す日が職種ごとにずれる」という声が挙がります。選考の進め方だけを速くしても、次の欠員で同じ場所に待ちが溜まりかねません。採用リードタイムを縮める余地は、欠員が出てから紹介会社に依頼が届くまでの社内の区間にあるため、ここを先に短くする段取りが欠かせないでしょう。
本記事では、採用リードタイムが積み上がる3つの区間から、契約各社へ依頼をそろえて出す整え方まで解説します。
人材紹介をめぐる運用の記事は記事の一覧に集めています。
欠員が埋まるまでの期間が読めない中途採用
中途採用の募集は、欠員が出た時点から始まります。入社までの期間が見通せない状態は、募集が動き出すまでの日数が長い状態と重なります。
ここでは、中途採用で人数が埋まらない実態と、期間を縮める手がかりがある場所を解説します。
2025年度下半期の中途採用で、必要な人数を「確保できなかった」と答えた企業は51.5%でした(リクルートワークス研究所『中途採用実態調査(2025年度実績、正規社員)』)。
全国の民間企業を対象に2026年1月から3月にかけて行われた調査です。割合の母数は、2025年度下半期に中途採用を実施した3,292社です。
人数が埋まらない状態が続くと、募集の期間はそのまま延びます。延びた期間の中身には、選考に使った日数のほかに、欠員が出てから募集が始まるまでの社内の日数が含まれます。
採用リードタイムは、欠員の発生から入社までの全体を指す言葉です。縮める作業で先に手が入る場所は、紹介会社に依頼が届くまでの社内の区間になります。
この区間に登場するのは社内の関係者だけのため、着手した月から日数を削れます。
推薦が届いた後の選考の区間は紹介経由の選考辞退で扱いました。本記事は依頼が出るまでの時間に絞って進めます。

採用リードタイムが積み上がる3つの区間
採用リードタイムは3つの区間に分かれます。区間ごとに、日数が伸びる理由は違います。
ここでは、区間の分け方と、待ちが溜まりやすい場所を解説します。
仕事があるのに従事する人がいない状態を埋めるための求人を抱える事業所は、2025年5月1日現在で58%にのぼります(厚生労働省『労働経済動向調査(令和7年5月)』)。
区間の内訳は以下のとおりです。
- 欠員の発生から紹介会社への依頼まで
- 依頼から初回の推薦まで
- 選考の開始から入社まで
1つ目は社内で進む区間です。退職の申し出や増員の決定を受けて、採用する人物像と条件を決め、社内の承認を取り、各社へ依頼を出すまでの期間にあたります。
2つ目は紹介会社の中で進む区間です。依頼を受けた担当者が登録者を探し、本人の意向を確かめて推薦を出すまでの期間です。
3つ目は選考の区間です。書類の確認から面接、内定、入社日の調整までが入ります。
後ろの2つは、紹介会社の社内の動きと候補者の都合に左右されます。自社の段取りだけで縮められるのは1つ目の区間です。
依頼を出した後に推薦が止まる理由は推薦が届かないときの原因で分解しています。本記事では1つ目の区間に話を進めます。
依頼までの区間で止まる3つの手続き
社内の区間で日数が増える場所は、3つの手続きに絞られます。どれも紹介会社へ依頼を出す前に終える作業です。
ここでは、3つの手続きが止まる理由と、先に決めておく内容を解説します。
1. 採用要件の確定
欠員が出た部署の求める人物像は、人事の手元にはありません。業務の範囲と任せる役割を、部署の責任者と言葉にする作業から始まります。
厚生労働省が公表した採用手法の調査研究には、中途採用の募集について各部門や拠点から出た希望を人事部で集約し、人事部長の決裁で可否を判断する企業の例が載っています(企業等の採用手法に関する調査研究 報告書)。
同じ報告書には、求める人物像を固める段階で、紹介会社の担当者と採用部署が直接会う場を設ける企業の例も挙げられています。
要件の確定が遅れる理由の多くは、部署の責任者との打ち合わせが入る日まで待っている点にあります。欠員の連絡を受けた週のうちに30分の打ち合わせを入れる形にすると、この待ちはなくなります。
決める内容は、任せる業務の範囲、必須の経験、想定する年収の3点に絞って差し支えありません。
依頼の際に添える内容は人材紹介会社への求人依頼にまとめています。本記事では決める時期に絞ります。
2. 求人票の確定
要件が決まると、求人票の作成に移ります。ここで止まる原因は、文面を書く作業よりも、確認する人の多さにあります。
部署の責任者、人事、役員が順番に目を通す運用では、1人あたり2日でも1週間が過ぎます。
確認は並行で回し、戻す期限を2営業日に固定します。この形で、作成から確定までは1週間以内に収まります。
紹介会社への依頼には、求人票の文面がそのまま使えます。媒体向けの原稿が仕上がるまで依頼を待つ必要はありません。
3. 社内の決裁
採用の可否と予算の決裁を、月に1度の会議で扱う企業があります。会議の開催日の翌日に退職の申し出が入ると、次の開催まで依頼が出ません。
欠員の補充にあたる採用は、人員を増やす採用と分けて扱います。同じ役割と同じ条件での補充であれば、退職の申し出を受けた時点で決裁済みとする運用です。
年度の初めに職種ごとの採用枠と上限の年収を決めておくと、欠員が出た時点で通す決裁がなくなります。
3つの手続きを前倒しすると、社内の区間は数日に収まり、残る待ち時間は紹介会社と候補者の側に移ります。

欠員が出た週のうちに、紹介会社へ依頼を出せていますか
複数の紹介会社の運用最適化で、採用要件の確定から契約各社への依頼までを同じ週に収める運用に寄せられます。サービス概要資料では、要件の固め方、求人票の確認の回し方、各社へ同じ日に依頼を届ける進め方がわかります。欠員の補充を決裁から外す段取りも、資料内でご確認いただけます。
無料で資料を受け取る契約各社に同時に出すための依頼の整え方
社内の手続きが終わると、依頼を出す作業に入ります。契約している会社が複数ある場合、ここで出し方の差が日数に表れます。
ここでは、1社ずつ出す進め方で待ちが伸びる構造と、各社へそろえて出す整え方を解説します。
総合職の中途採用で、人材紹介会社や転職エージェントを採用の経路に使った企業は55.6%でした(2025年1月から2月に2,417社が回答。厚生労働省『中途採用・経験者採用者が活躍する企業における情報公表その他取組に関する調査研究 結果報告書』)。
人材紹介の費用は、採用が決まった段階で初めて請求が立つ成果報酬が主流です。契約の時点では費用がかからないため、契約先は増やす方向で持つほど、出会える候補者の層は広がります。
何社と契約するかは契約する紹介会社の社数にまとめています。本記事は、増やした契約へ依頼を届ける側に進みます。
依頼を1社ずつ出す進め方では、社数ぶんの準備の時間が積み上がります。1社目へ出した翌週に2社目、その翌週に3社目と続けると、最後の会社に依頼が届くのは1か月後です。
同じ求人を扱う会社に依頼が届く日がずれた分だけ、推薦が届き始める時期も後ろにずれます。
依頼は1度の準備で各社へそろえて出す形に変えます。求人票と要件のメモを1組作り、同じ内容と一次回答の期限を全社へ同じ日に渡します。
会社ごとに足す説明は、依頼を出した後のやり取りで渡せば足ります。
契約中の紹介会社を差し替える必要はありません。やめる判断も要りません。手を入れるのは、依頼が各社に届くまでの段取りです。
契約各社への依頼の状況と推薦の件数を1枚にまとめ、同じ条件で動かす進め方がエージェントコントロールに該当します。進め方の全体像を複数の人材紹介会社を最適化する方法にまとめました。
社数が増えるほど、依頼の配布と一次回答の催促にかかる作業は増えます。採用以外の業務を兼任する担当者が毎回そろえ続けるのは、作業量の面で難しい場面が多いでしょう。
一括エージェントが引き受ける範囲が、複数の紹介会社の運用最適化です。各社への依頼の配布と回答の状況はAIが1枚の画面に集約し、担当者との折衝や催促は人が受け持ちます。
一括エージェントに運用を預けた医療機関の例では、契約先をそのままに、各社から届く紹介が約2倍へ増えました。看護師2名の入職までにかかった期間は2か月です。医療の分野で出た実績です。
まとめ|依頼までの区間から始める採用リードタイムの短縮
本記事では、採用リードタイムが積み上がる3つの区間から、契約各社へ依頼をそろえて出す整え方までを整理しました。要点として3つを挙げます。
- 採用リードタイムは社内・紹介会社・選考の3つの区間に分かれる
- 自社の段取りだけで縮められるのは依頼が出るまでの社内の区間
- 採用要件・求人票・社内の決裁を前倒しし、依頼は各社へ同じ日に出す
社内の区間を縮める作業は、欠員の連絡を受けた週に30分の打ち合わせを入れる段取りから着手できます。

もっとも、募集する職種が増えるほど、要件のそろえ直しと各社への依頼の配布は後ろに回りがちです。先送りにした日数は、欠員が埋まらない期間として残ります。
依頼の配布、一次回答の催促、推薦の記録までを人とAIで分担するのが一括エージェントです。
いまの契約先はそのままにしたうえで、依頼が出るまでの日数を縮めていけます。
よくある質問
Q. 欠員の補充が長引いています。人材紹介に依頼する進め方はやめるべきですか
依頼先を減らしても、出会える人数が減るだけで、欠員が出てから依頼が出るまでの社内の区間はそのまま残ります。人材紹介という手段をやめる必要はありません。長引いた期間の内訳には、採用要件の確定や社内の決裁を待った日数が含まれます。現実的な順番は、契約を残したまま運用を整える進め方です。要件と求人票を先に固め、契約各社へ同じ日に依頼を出す形にすると、同じ契約先からでも推薦が届く時期は前に動きます。
Q. 欠員が出てから紹介会社に依頼を出すまでの日数は、どの程度が目安になりますか
決まった日数はありません。部署の数や決裁の進み方によって変わります。目安としては、退職の申し出を受けた週のうちに要件を決め、翌週の前半までに依頼を出す形です。先に決めておくのは、欠員の補充を決裁の対象から外すかどうかと、求人票の確認を何営業日で締め切るかの2点になります。
Q. 契約している会社が多い場合、依頼は何社まで同じ日に出せますか
社数の上限は、依頼を出す作業よりも、届いた推薦に返事を出せる件数で決まります。同じ内容の依頼を配る作業は、宛先が増えてもほとんど変わりません。一方で、推薦への可否の返信と日程の提示は社数ぶんに増えます。返信が追いつく範囲で社数を決め、依頼そのものは全社へ同じ日に出す形が無理のない進め方です。
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