中途採用で欠員を埋める企業は、求人広告への掲載と人材紹介への依頼を並行して抱えています。次の募集でどちらを厚くするかという判断が、そのつど必要になります。
採用担当者からは「媒体に出しても応募が集まらない」「紹介の手数料が1人ずつ積み上がる」という声が挙がります。手法ごとの特徴を並べるだけでは、募集のたびに同じ迷いを繰り返しかねません。費用が募集枠に付くか入社1人に付くかという差で見ると、1回の募集で採る人数が少ないほど人材紹介のほうが支出を読めます。契約社数を確保して動かす順序が欠かせないでしょう。
本記事では、費用が付く単位の違いから、採用人数で変わる支出と少数採用で紹介を厚くする手順まで解説します。
採用手法ごとの記事は一覧ページにまとめました。
求人広告と人材紹介で費用が付く単位
2つの手法は、料金が何に紐づくかが違います。求人広告は募集の枠に、人材紹介は入社した人に紐づきます。
ここでは、求人広告と人材紹介のそれぞれで、料金の根拠になる単位を解説します。
求人広告の料金は、掲載する期間と枠に付きます。マイナビ転職の基本企画は4週間の掲載で20万円からで、掲載料は原則として採用人数に応じて加算される成果報酬ではないと、事業者自身が明記しています(マイナビ転職『掲載料金と選ばれる理由』)。
この金額は、求人原稿の取材と制作を自社で行う最低プランの条件です。原稿の制作を任せる企画や、掲載の表示順位が上がる企画を選ぶと、同じ4週間でも料金は上がります。
枠に付く料金のため、同じ掲載から1名が入社しても3名が入社しても、支払う額は変わりません。応募が集まらず採用に至らなかった場合も、料金はそのまま残ります。
人材紹介の費用は、入社した人に付きます。採用が決まるたびに1件の請求が立ち、2名が入社すれば請求も2件になります。
成果報酬型であれば、入社まで進まなかった募集に請求は立ちません。選考が途中で止まった枠は、費用の対象から外れます。
この単位の差は、募集を出すたびに同じ形で働きます。広告は掲載した枠の数だけ、紹介は入社した人数だけ費用が増えます。
契約から入社までの流れは人材紹介の仕組みに、料率の水準そのものは人材紹介の手数料相場にまとめています。

採用人数で変わる1人あたりの支出
費用が付く単位の差は、1回の募集で何人を採るかによって、1人あたりの支出に表れます。同じ手法でも、採る人数が変わると割に合う範囲が動きます。
ここでは、採用人数ごとに1人あたりの支出がどう動くのかを解説します。
求人広告の掲載料は、採用できた人数で割った分だけ1人あたりが下がります。4週間20万円の枠で、2名の入社が決まったとします。
このとき1人あたりの負担は10万円です。同じ枠で3名が決まれば、1人あたりは約6万7千円まで下がります。
入社した人数が増えるほど、1人あたりの負担は軽くなります。採用の枠を1件ずつ別に立てるのではなく、同じ職種をまとめて募集する会社が掲載を選ぶのは、この下がり方があるためです。
人材紹介にこの割り算は効きません。採用が決まるたびに請求が1件立つため、2名を採れば支払いも2件分になります。
代わりに、採用まで進まなければ費用は発生しません。掲載は採用できなくても料金が残り、紹介は入社がなければ請求が立たないという非対称があります。
判断の軸は、この割り算が効く見込みがあるかどうかに置けます。同じ条件の席が複数あるか、前回の同じ募集で何名が入社したかをたどると、見込みは手元の記録から確かめられます。
採った人数で動く掲載料と、人数に応じて立つ紹介の請求
| 採った人数 | 求人広告(4週間20万円の枠) | 人材紹介(成果報酬型) |
|---|---|---|
| 1名 | 1人あたり20万円 | 入社1人ぶんの請求が立つ |
| 2名 | 1人あたり10万円 | 入社2人ぶんの請求が立つ |
| 3名 | 1人あたり約6万7千円 | 入社3人ぶんの請求が立つ |
| 採用に至らず | 掲載料は残る | 請求は立たない |
求人広告の欄は、原稿制作を自社で行う最低プランの掲載料を採った人数で割った額です。人材紹介の欄は、成果報酬型での請求の立ち方を示しています。
分かれ目は、1回の募集で何人を採る枠なのかという点です。まとめて3名以上を採る募集なら、掲載料を人数で割れる求人広告のほうが1人あたりの支出は小さくなります。
同じ職種を通年で複数名採り続ける会社や、現業職の増員のように採用人数の幅が広い募集は、掲載を厚くする側に収まります。応募が多く集まる職種であれば、枠の料金のまま人数を伸ばせます。
採る人数が1名か2名で止まる枠では、人数で割る効果が出ません。掲載料を払っても入社が1名なら1人あたりは20万円のままで、採用に至らなければ掲載料だけが残ります。
職種ごとの採用人数をみると、2025年に最も多かった営業でも年間平均4.8人でした(2025年に営業職の中途社員を募集した企業の回答の平均。マイナビ『中途採用状況調査2026年版(2025年実績)』)。
1年を通した累計でこの水準のため、1回の募集で採る人数は1名から2名に収まる職種が多くなります。管理職や専門職の欠員補充は、この範囲に収まることが多いでしょう。

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1名か2名で止まる枠は、人材紹介のほうが支出を読めます。ここから決めるのは、紹介を厚くする順番です。
ここでは、依頼先をそろえる段と、そろえた依頼先を動かす段の2つに分けて解説します。
先に手を付けるのは依頼先の数です。人材紹介の多くは成果報酬型で、契約を結んだ時点では請求が立ちません。
請求が立つのは入社が決まった枠だけのため、依頼先を絞り込む理由は費用の面からは見つかりません。各社が抱える候補者の顔ぶれには偏りがあるので、窓口を1社に限った分だけ、出会える人の範囲も狭くなります。
社数の線引きをどう置くかは契約する紹介会社の社数で扱っています。
労力がかかるのは次の段です。依頼先を増やしただけでは、推薦の件数は動きません。
紹介会社の担当者は、同時に何十件もの求人を抱えています。推薦を出しても返事が遅い企業は、候補者へ案内する順番が後ろに回ります。
必要な経験の範囲、勤務地、年収の幅、選考の回数がそろって各社の手元にないと、推薦は希望とずれた候補者に寄ります。共有する内容は、社内で確定させた募集条件をそのまま渡す形で間に合います。
契約各社とのやりとりと候補者の選考状況を1枚の表で管理し、推薦が増える方向へ運用を整える動きがエージェントコントロールです。手順は人材紹介の運用を束ねる進め方にまとめています。
ただし、欠員の対応と社内調整を抱えた担当者が、契約先ごとの連絡と募集条件の見直しを毎週こなしていくのは難しくなります。ここを人とAIの役割分担で肩代わりするサービスが、一括エージェントです。
契約先との連絡と候補者の状況はAIが1画面に集め、募集条件の書き直し、担当者との折衝、届いた推薦へのその日の返信は人が担います。取引先を1社も切らないまま、運用に取られる時間だけを外部へ移せます。
運用を引き受けた医療機関の例では、取引先を変えずに届く紹介の件数が約2倍へ伸び、2ヶ月で看護師2名の採用が決まりました。医療の職種で得た数値のため、ほかの職種でも同じ結果になるとはかぎりません。
求人広告は、紹介の運用に並走する補助として置けます。推薦が薄い職種で母集団の幅を広げる使い方なら、2つの手法が同じ枠を取り合いません。
まとめ|1回の募集で採る人数から決める配分
本記事では、費用が付く単位の違いから、採用人数で変わる1人あたりの支出と少数採用で紹介を厚くする手順までを整理しました。要点は3つにまとまります。
- 求人広告の料金は募集の枠に付き、人材紹介の費用は入社した1人に付く
- まとめて3名以上を採る募集は掲載を厚くする側、1名か2名で止まる枠は紹介のほうが支出を読める
- 少数採用の枠では、依頼先をそろえたうえで、預けた求人を動かす運用に手をかける
募集ごとに採る人数を書き出す作業なら、今期の募集一覧を開くところから始められます。

とはいえ、契約先ごとの連絡や条件の手直しに毎週の時間を割ける担当者は、多くありません。手が回らないままの期間は、推薦の件数も伸びないままになります。
一括エージェントが人とAIで代行するのは、契約している紹介会社を横断した運用の最適化です。推薦が届いた日の返信、募集条件の書き直し、会社別の決定実績の把握までが引き受ける範囲にあたります。
いま契約している会社は1社も外さずに、少数採用の枠が紹介で埋まる形へ近づけていく順番になります。
よくある質問
Q. 求人広告と人材紹介では、どちらのほうが費用は安く収まりますか
1回の募集で採る人数によって入れ替わります。求人広告の掲載料は募集の枠に付くため、2名が入社すれば1人あたりは半分になります。人材紹介は入社した1人ごとに請求が立つため、採った人数の分だけ支払いが増えます。まとめて3名以上を採る募集では広告のほうが1人あたりの支出は小さく、1名か2名で止まる枠では紹介のほうが支出を読めます。募集ごとに採る人数を先に書き分けると、どちらを厚くするかは決められます。
Q. 求人広告の掲載をやめて、人材紹介に一本化したほうがよいですか
一本化する必要はありません。まとめて複数名を採る職種では、掲載料を人数で割れる求人広告のほうが1人あたりの支出は小さく収まります。少数採用の枠を紹介で埋めながら、人数の幅が広い募集に掲載を並走させる形なら、2つの手法が同じ枠を取り合いません。判断の単位は会社全体ではなく、募集1件ごとに置きます。
Q. 手数料を抑えるために、人材紹介会社の契約は減らしたほうがよいですか
契約をやめる必要はありません。請求が立つのは入社が決まった枠だけで、契約を持っているだけでは費用はかかりません。依頼先を減らすと出会える候補者の幅が狭まり、少数採用の枠が埋まるまでの期間が延びます。収まりがよいのは、契約をそのままにして運用のほうへ手を入れる進め方です。募集条件を各社の担当者へ共有し、推薦に対する返事を早め、会社別の決定実績を押さえておくと、同じ依頼先からでも採用まで進む人数は変わってきます。
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